「旦那、本当に何か欲しい物はないのか?うん」 薄暗い部屋の中で、デイダラはポツリと言葉を漏らした。何気ない質問だが、その瞳は真剣そのもので、その質問の重要さが目に見えてくる。 いつもの様にクグツを改造していたサソリは、デイダラに聞こえないように溜め息をついた。 最近、デイダラが俺に欲しい物は無いかと聞いてくる。毎回聞き流す俺も悪いのかもしれないが、何度も聞かれると流石に鬱陶しくなってくる。 欲しい物は何かと問われれば、クグツしかない。クグツを改造したり作ったりするのは好きだし、何より自分のコレクションが増えるのは嬉しい。だから、欲しい物はクグツ。 しかし、他人から貰える物だというのなら話は別だ。コレクションは質で決まるのだから、他人が良いクグツと悪いクグツの区別が付かなかったら意味が無いのだ。 それに、好きな奴から貰える物なら正直言って何でも良い。重要なのは奴からの気持ち。 ……それでも俺がお前に求める物は、 「特に無いな」 「……そ、っか」 「……でも、あえて言うなら、」 お前が欲しい。 そう、ありきたりな言葉や物なんて要らない。 ただ君が隣に居る。それがなによりの幸せなんだ。 (知ってたよ、俺の誕生日だからプレゼントを考えてくれてたのは) (だから、プレゼントはお前とずっと離れないという特権) 条件は、側に居る事 ------------------------ 08/11/8 旦那、誕生日おめでとう! 本文に、"おめでとう"という文字が一つも無いということに後々に気付きました(ぇ |