(※えろ)


だん!大きく悲鳴をあげる床と背中に顔をしかめる。突然の事で一瞬何が起こったのか分からなかったが、目の前にある臨也の姿と天井に自分が押し倒されている事に気付いた。

今日は休日なので、学校が休み。だから恋人である臨也の家にやってきて、一緒に他愛のない話をしてお茶を飲んだ、それだけなのに。
それが、なぜこうなったかだなんて分からない。
いつも事情事に進む時は、唐突だが今回のように床に突然押し倒すなんて事はせず。彼のお得意の言葉やら行動でベッドに連れられるパターンが、いつもの事なのだが。
今日は一体どうしたというのだろうか。
今日は家から直接臨也の家へ行ったので、ナンパは疎か、親友である帝人にさえ合っていない。それに、悔しいが好きなのは臨也が一番なので、疚しい事なんてしないし出来る訳ないのだが。
もしかして無意識に彼の勘に障る事でも言ってしまったのだろうか、なんて言葉が浮かび。

早く謝らなければと口を開けば、すみませんの言葉を発する前に口を塞がれてしまった。しかも手で塞ぐといった事ではなく、唇で口を塞がれたのだ。所謂、キスだ。
いつの間にか口内に侵入してきた舌に口の中全てを弄り、正臣の舌を甘く噛んでは吸って絡めて。いつもより少し乱暴なキス。
それでも無駄に上手いなと冷静に考える、そんな自分に驚いた。
それでも恐怖は消えてはおらず。ふるふると小さく震える手だけは、助けてほしいと嘆いているようだった。

はっ、ぁん…。と微かに漏れる吐息。長く続くキスに頭の中が翻弄としていき、何も考える事ができない。それどころか下半身まで疼いてきて。
もぞもぞと無意識の内に両足の太ももを擦り合わせてしまう正臣に、臨也はくすりと笑みを深くした。

「……ここが、どうかしたのかい?」

すっ、と擦り合わせる太ももを引き剥がし、ズボンの上から柔らかく撫で上げる。思わずぴくっ、と体が跳ねる。その瞬間、今まで忘れかけていた恐怖が湧き出てきて。

「……ひっ!や、やめて下さい!ど、どうしたんですかっ……!?」
「違うだろ?」

ぐにっ、柔らかく撫でていた手が正臣の欲望をズボンの上からぎゅっと握り締めた。
思わず、引きつる声が喉を掠める。
ぴくぴくと震えるその性器に、また臨也が笑みを濃くした。

「もっとして下さい臨也さん、でしょ?」

そう言うと彼は正臣の性器を強く扱きはじめた。しゅっ、しゅっと擦り、先をぐにぐにと弄る。
自分で抜くときとは違う強い刺激に、頭がついて行かない。唇を強く噛み締め、首を小さく震えるように横に振る。
すると、小さく震える体の服を捲り上げ胸の突起を舐めて、ころころと舌で弄りはじめた。

「っ、ぁあ!……はっ、ぁぁ」

突然声を上げた正臣に一瞬驚くが、すぐに満足そうな笑みを見せ。
やだやだ、と頭を振る正臣を無視して性器と胸の突起を弄っていく。
震える手で正臣の体を押し返そうとするが、気持ちよさとびりびりと痺れるような快感に思うように力が入らなかった。

「ゃああ、…い、ざや…さぁん……も、イくぅう」
「……あ、待って。」

あと一息で出ると思った瞬間、ぎゅっ、と精液が出ないように先を強く握られた。突然の痛みと出すことの出来ない気持ち悪さに眉をしかめる。
すると、ピピッ。という機械音が耳に入った。
一体何なんだ、と顔を機械音のする方へと向ければ。
驚いた。
臨也が携帯を片手に正臣を撮っているからだ。

「っ、な、何…して……っ?」
「ん?何、ってムービー撮ってんだよ。」
「……っは!ふざけっ」
「ほら、イきなよ!イってる姿を撮られて興奮してな!」
「ひ、…ぃ…やぁあぁああっ!」

強く握られていた性器が解放され、再び強く扱かれれば呆気なく果ててしまった。その瞬間の顔やら、飛び散る精液の出る姿やらを間近で撮られて屈辱に感じる反面、背中の奥はぞくぞくと震えている。
可愛いねぇ、という彼の歓喜の声を聞きながら、つー…と頬に涙が走った。
はぁ、はぁ、と肩で息をすれば、口から漏れる熱い二酸化炭素を飲み込むかのように口付けが降ってくる。ぼーっとする頭で臨也の携帯を握っている手を見れば、器用にムービーを保存しているではないか。
正臣はイったばかりの気ダルい体で、命一杯の抵抗をし始める。しかし、それは彼の空いた片方の手で簡単に押さえつけられた。

「んー…、そそるなぁ。この可愛い顔を皆に見せ付けてあげたいね。」
「……っ!?」
「これ、見える?」

そう言って、見せつけられた携帯には作成中のメールがあった。
宛先は複数あり、その中に帝人のアドレスがあるのが分かる。さらに件名には『紀田正臣の醜態』なんて馬鹿げた文章が書かれている。
そして、それと一緒に動画も添付されていた。
まさか……?
まさか、さっきのムービーなんじゃ…!?

「っ、ふざけんな!」

正臣は臨也の襟元を掴み、彼が持つ携帯へと手を伸ばす。しかし彼はそれを嘲笑うかのように、やんわりと正臣の性器に触れた。
やっぱり興奮してる。
なんて言葉を耳元で囁かれ、真っ赤に染まる耳を急いで塞いだ。そしてそれと同時に、じくりと痛みが走る。臨也が指を入れたのだと直ぐに理解し、目を瞑った。
(ああ、くそっ!)

ぐちぐちと穴を広げていく指の動きを止めず、再び口付けを交わす。舌と舌で絡め合い、角度を変えて何度もキスを味わう。
こんな事をされようが、やはり彼が好きなのは変わらなくて。濃厚なキスには抵抗はしなかった。
ずぷ、と彼の指が三本に増え眉を歪ませるが、彼の心地の良いキスにより何とか悲鳴は上げずにすんだ。口元にどちらのとも言えない唾液が伝うが、そんな事に気にする事さえできず。
正臣は臨也の首に腕を絡ませた。

「正臣君、じゃあこれを送信するのと一緒に繋がろうか。」
「……は?」
「はーい、じゃあいくよー?」
「ちょ、本気かよ!ふざけっ…ぁああっ、んあ!?」

彼は宣言通りに素早く指を引き抜き、そのまま送信ボタンを押すのと同時に彼の欲望を正臣の中へと一気に挿れた。
ヌプ、ズププ。と彼の性器が中へと入ってゆき、痛みと快感に腰の奥が喜んだ。
それでも先程送信されたメールが気になり、再び彼がムービーを起動させている事に気付けなかった。
じゅぶじゅぶと溢れる精液に、腰と腰とがぶつかり合う音が響き、頭がおかしくなりそうだ。

「ぁっ、あっんん……!いざやっ、さん…好きぃですぅああっ…ぁんっ」

抱き付くように彼の肩へと顔を埋めれば、臨也に携帯を閉じて近くに置き、出し入れする動きを止めずにその体を包み込むように抱き寄せた。

「俺も、人間の中で正臣君を一番愛してるよ。」




「ごっこ」な気分なんです




「……で、どーしてくれるんすか!俺のラブラブハントな日常がっ!」
「え、何が?」
「何が、じゃないです!動画ですよ、動画!」
「ああ、あれ?」

皆に送ったのは、池袋を写した普通の動画だから。ハメ撮りなんて送ったら、俺が犯罪者って思われるじゃない?それに、誰もハメ撮りを送るなんて言ってないから。ああ、あと件名も送るときに消しといたよ。まぁ、許してよ。今日は強姦っぽくしてみたい気分だったんだからさ。

なんて言葉をつらつらと並べられ、正臣は脱力感と安心感に胸を下ろし、それと同時に思いっきり彼の頬を殴ってやった。




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やまなし、おちなし、いみなし。



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