(※えろ/学パロ)

 本当と嘘、どちらの言葉で戒めて欲しいか。
 数日前の自分なら前者を選んでいたのだが、今では迷わず後者を選ぶ事ができる。なぜなら、きっと本当の言葉を聞いてしまったら溺れてしまうと思うから。
 鳴り響く鐘の音が、休み時間だという事を告げる。聞き慣れてしまったその音に、思わず肩が震えた。ぎしぎしと悲鳴を上げる白いベッドのシーツをぎゅっと握り、それと同時に強く唇を噛み締める。乱れる服の隙間から胸を鷲掴みされ、乳輪をなぞるように突起を舐めれば、彼は甘く歯を立ててそのまま吸って。
 思わず声が出そうになるのを我慢する為、両手で口元を抑えれば、駄目だと言わんばかりに彼はその両手首を掴む。そのままシーツの上に固定され、それと同時に彼が腰を動かした。


 どうしてこんな事になってしまったのだろうか。
 生理的に零れた涙を拭う事もできず、そっと瞼を強く閉じた。それは数日前だったと思う。とある豪邸の一人娘であるミラは、念願叶ってやっと学校に通わせてもらう事となり、心が踊るような日々を過ごしていた。
 学校生活が始まって数日、ずっと箱入り娘だったミラにとって、分からない事ばかりの学校はとても興味深いものだった。その好奇心と昔から備わっている強い意志に、クラスの皆も惹かれていき、たくさんの友達も直ぐにできて。
 家の中でずっと過ごす事に比べれば不便だらけだが、この学校に通い始めて充実感が胸に膨らんでいくのが身に染みて感じられる。授業は相変わらず分からないが、それでも学校に通って良かったと、安堵の溜め息を吐き出した。
 そんな今日の午後。移動教科の為教室を移動しなければならず、できたばかりの友達と一緒に廊下を歩いていた時、机の中に仕舞い込んだ筆記用具を思い出して。友達には先に行ってもらうように伝え、一人で教室へと引き返した。
 その時だった。突然伸びてきた腕に掴まれたのは。それはあまりに突起な事だったので、何かを考える余裕も無いまま一気に引き寄せられた。その一瞬の出来事に頭の中が上手くついて来て来れず混乱していると、今度は優しく肩を掴まれてベッドに座らされる。
 室内は明かりが点いていないがベッドがあるので、ここが保健室だという事が理解した。確か今日は保険医の先生は休みだった筈だ。だんだんと鳴り響き始める危険信号に、緊張を隠す事ができない。暗い所に慣れてきた目で、目の前の人物を確認すれば、思わず飲み込む息。
 清楚なスーツを着こなした彼は、見間違える筈のない正真正銘ミラの専属の執事、アルヴィンだった。彼はミラが小さい頃からずっと一緒に居り、少々軽いが、誰よりも傷付きやすい彼と一緒に居るのは心地が良かった。それが恋愛感情へと変化したのは今から五年前。いや、本当は気付かなかっただけで、もっと前から好きになっていたのかもしれない。
 それでもこの気持ちを素直に吐き出さなかったのは、仕える執事に恋をしてはいけないと知っているから。なのでこの想いで押し潰されないように、彼には内緒で学校に通い始めたのだが、これは一体どういう事なのだろうか。
 目の前に居るアルヴィンは本物で、そしてどこか怒っているような雰囲気が読み取れる。彼の名前を呼ぼうと開けた口は、それを遮るかのように彼の唇で塞がれた。


 頭の奧がチカチカとしていく中、ここが学校だと言い聞かせて意識が飛ばないように集中させる。あれから彼は無言のままミラの身体を貪り、有無を言わさず犯され続けている。
 この意味の持たない行為に、何を求めているのだろうか。彼と繋がっている秘部がじんじんと疼き、彼が動く度に腹の奧が痺れてくる。制服のブラウスはボタンが完全に外れ、胸の谷間で垂れるネクタイが肌に触れて冷たい。その胸を下から持ち上げるように揉み、桃色に突起した乳頭を一舐めし、舌で転がすようにそのまま口に含んだ。
 スカートの下から太ももを滑らせ、アルヴィンはミラの足を肩に担ぐように置いて。そのままミラの唇にキスを落とせば、先程よりも彼の自身がミラの女性器へと深く入っていく。

「ぁあっ、んっ……駄目だ、アルヴィ……ンっ」
「ミラ様……っ!」

 ぎしぎしと悲鳴を上げるベッドなんてお構いなしに、何度も何度も腰を打ち付ける。軋むベッドの音と共に卑猥な水音が響き渡り、強く瞳を閉じた。そんな時だった。ガラッと勢いよく保健室の扉が開いたのは。思わず肩が跳ね上がり、息を止める。
 一番奧のベッドで尚、きちんとカーテンも締めているが、こんなに堂々としていれば何をしているかだなんて筒抜けも当然で。早くなる心音に目を瞑りながらも、彼からの止まらない刺激に頭の奧がどうにかなってしまいそう。体を捩らせて、枕を抱き締めるように顔を埋めて声が漏れないように我慢する。
 それでも完全に抑える事のできない声は、息を吐き出す度に途切れ途切れに漏れていく。涙が止まらない瞳でアルヴィンに訴えかければ、突起中に入っている彼の性器が膨張した。

「……っ、ふっ……ぁう」
「耐えるねぇ……おたくさ、もう諦めたらどうですか?」

 ──冗談じゃない! こんな姿を見られたら、もう学校に行けなくなってしまう!
 強く睨めば、怖い怖いと挑発するように笑い、そのまま腰を動かしていく。保健室に入ってきた足音がだんだとと近付いてきて、一気に顔から血の気が引いて、背筋が緊張で凍っていく。もう終わりだと肩を震わせていれば、一歩一歩響く足音が突起止まった。彼らは、何をやっているのか理解したのか、そのまま逃げるように走り去っていった。
 嵐のように去っていった彼らに対し、ほっとしたのも束の間。直ぐに快楽の波が押し寄せ、涙が枕を濡らしていく。太く熱い彼の性器が何度も何度も繰り返し子宮を打ち付け、悲痛にも近い甘い叫びが枕の中へと木霊する。

「ばっ、やめっ、ぁっあ……んんっ」
「学校なんて、もう行けなくなっても良いだろ?」
「アル、ヴィン?」

 どうして彼はこんな事をするのだろうか。好きだからか、それともその逆だろうか。考えても考えても分からない答えは、誰が答える訳もなく。また、考える余裕もなくて。
 否、きっと後者であろう。そうでなければ、こんなに楽しい学校生活を奪おうなんて考えない筈だ。昔から分かっていた、彼に嫌われている事は。一番側に居る執事だからこそ、その微妙な感情の変化に気付くのも容易い。しかし嫌われているからといって落ち込む事は無い、そんな感情など断ち切らなければ先になど進めない事を知っているから。
 汗ばむ身体が密着し、荒い息遣いを正す事ができない。何度目か分からぬキスと、首筋から胸の辺りに散りばめられたら赤い華。繰り返される度に、彼が好きだと叫んでいるような錯覚に陥り、何度も何度もその言葉を切り捨てる。
それでも好きだからこんな事をするのだと、思い込んでいたいから。

「ミラ様……俺は──」
「言うな。 ……それ以上は、駄目だ」

 その先の言葉を聞いたら自分の中の何かが崩れてしまう、そんな気がした。




できる事ならば本心を聴かず溶けてしまいたい




--------------------------------------------------
一度は書いてみたかった、執事アルヴィン×学生ミラ。
何か色々と下手くそすぎた。
一応、アル(→)←ミラです。最後まで、アルヴィンを敬語にしようかどうしようか悩みました(笑)



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -