夜蛾の孕む子 ※モブゾロ陵辱、輪姦注意 磔にされていたゾロが海兵に陵辱される話が含まれます 暴力、薬、流血などの表現もございますのでご注意ください 逃げるつもりなどこれっぽっちもないというのに、ゾロを磔にするために集まった海兵は、基地中の者が集まっているといっても過言ではない人数だった。 中央に置かれた磔場からは、見渡せど海兵の姿しかない。ただ、この基地を牛耳るモーガンの姿だけは、まだ一度も見ていなかった。 海兵に腕を捕まれ、ゾロの身体は乱暴に丸太へ括りつけられていく。腹に縄がきつく縛りつけられた頃、モーガンの息子であるヘルメッポが、にやにやと嫌な笑みを浮かべながらゾロの前に立ちはだかった。 約束だぞ、一ヶ月だ。ヘルメッポの言葉に、ゾロは口端を上げるだけで答えてみせた。その瞬間、何が気に障ったのか、ヘルメッポは顕著に顔をしかめ、ゾロの元まで歩みを進めた。 両腕にも縄は括りつけられ、ゾロは唯一自由な足をヘルメッポの足元へ投げ出す。 その目がむかついて仕方ねェんだよ、そう忌々しげに吐き捨てたヘルメッポは、ゾロに向かって足を振り上げた。何かを喚き立てながら、何度も腹を蹴りつけられる。 普段なら刀を使うまでもない男だが、抵抗もできずにいれば、さすがに身体も傷つく。内臓がどこかやられたのか、ゾロはたまらず吐血した。それはヘルメッポのよく磨き上げられた靴を汚し、更に男の怒りを買うこととなった。間髪置かず拳を振り上げられ、めちゃくちゃに顔を殴りつけられる。その様を、周りの海兵はただ見つめているだけだった。 自由な足で蹴りの一発でも食らわせれば、目の前の男の意識を無くすことぐらいはできるだろう。それぐらいの自負はゾロにもあった。例え丸太に括りつけられて、力の入らない身体だとしてもだ。どうして足は拘束されないのだと、奇妙な不信感は募る。 ここで男を伸すのは簡単だが、約束をしたのだ。何があっても、一ヶ月この場所で生き延びてみせる。 ゾロは、理不尽に殴られ蹴られ続けながらも笑みを湛えていた。頬を腫らそうが、吐血しようが動じないゾロに、ヘルメッポの腹の虫は治まることがない。だが、体力が尽きたのか、ヘルメッポは肩で息をしながら、今日はこの辺で勘弁してやると嘯いた。 取り巻きの海兵を連ね、基地へ戻っていくヘルメッポの姿を見送り、ゾロは切れた口内の血液を吐き出す。張られた頬がじんじんと熱を帯び始めていた。数時間もすれば、ゾロの顔はぱんぱんに膨れ上がってしまうだろう。 まだ残る海兵共の気味の悪い視線を感じ、ゾロは頭部に巻いた黒い手ぬぐいから鋭い双眸を覗かせた。すると、睨みつけられた海兵が、威厳もなく震え上がる。 モーガンの名を振りかざし、町人を支配してみせる海軍に威厳も何もあったものではないが、金のためとは言えど、海賊狩りと呼ばれ、海軍に貢献している状態にある自身に嫌悪さえ沸き始めた。 「海賊狩りのロロノア・ゾロ、貴様の名は海賊に引けを取らぬほど悪名高い。我々はヘルメッポ様に全ての処遇を任されている」 「へェ?」 そう言った海兵の一人が足を踏み出し、どこか気色ばんだ目でゾロのことを視界に捉えた。気味の悪い連中だと、ゾロが顔をしかめたとき、高く重厚にそびえたつ基地の塀から一人の少女が顔を出した。見覚えのあるその顔に、ゾロは深々と眉を寄せる。 リカは、今にも泣き出しそうな表情でゾロの姿を探していた。残った海兵は皆、今ならゾロに意識を向けている。リカの存在にはまだ気がついていなかった。 そのとき、リカがゾロの姿を見つけて目を見張るのを、視界の端でも捉えることができた。リカが口を開いたそのとき、ゾロは眼光鋭く少女を睨みつける。早く帰れと、怯えさせることだけを考えた。 あんなことがあったばかりだ。海兵にでも見つかれば、きっとリカもタダでは済まないだろう。リカはびくりと肩を震わせ、程なくして塀から姿を消した。威圧的なゾロの態度に、海兵の一人が声を張り上げる。その態度はなんだとか、そんなことを言っていた。 殴られ蹴られるなぞ、ゾロにとっては別段たいしたことではない。どうせこうなるのだろうとは思っていた。目の前の海兵が腕を振り上げた瞬間、ゾロも衝撃に備え身構える。だが、その腕が振り下ろされることはなく、ヘルメッポにめちゃくちゃに殴られ、すでに腫れ始めていたゾロの頬を労わるよう掌で覆った。ぴりりとした痛みに肩を震わせ、ゾロは奇妙な海兵の行動に眉を上げる。 海兵はどこか、うっとりとした表情をしていた。こう言った目つきには見覚えがある。いつもは相手を斬ることで切り抜けてきたが、今は刀もない上拘束されていた。ゾロに今、為す術は何もない。 そのとき、そんな空気を打ち破るよう、子電伝虫の鳴る音が聞こえてきた。海兵の一人がそれを取り、ぼそぼそと何かを話したかと思えば、目の前の海兵へ耳打ちをした。 未だゾロの頬を覆う男の手は、欲を含んだ手つきで首筋を撫で下ろし、名残惜しげに離れていく。あまりの気持ち悪さに、ゾロの首筋はぞわりと粟立った。 耳打ちをされた海兵は、他の者へ基地に戻るよう言い、自らも踵を返した。一体何があったのかは謎だが、ひとまず助かったとゾロは息を吐く。 あの手つきや目線には、明確な欲が含まれていた。男に嬲られるなど考えたくもない。だが、猶予は一ヶ月だ。これなら拷問でもされた方がマシだったと、ゾロは顔を歪めた。 磔にされていようと、やってくる睡魔に抗うことはできず、ゾロはあのあとすぐに眠りについた。一体どれほど眠っていたのか、時間の感覚がまるでない。 どこからか、やってくる人の気配に気がついたときには、もう辺りは闇に包まれていた。海軍基地も、すでに消灯されている。だが、月明かりは妙に明るく、球体の周囲は珍しく夕日にも似た橙色を纏っていた。 嫌な夜だ、ゾロはやってきた十人ほどの海兵を睨みつける。正義を掲げるキャップを目深に被った男たちは、口許に下種な笑みを浮かべていた。今まで、ゾロが嫌悪してきた海賊と同じものだ。腐ってやがる。ゾロが海兵を威圧するが、震え上がりながらも、欲には打ち勝てないでいるようだった。 ただでさえ、今のゾロには抵抗できる可能性など皆無だ。いくら殺意を持って睨みつけようとも、海兵には四肢が自由であるという絶対的な余裕がある。いつでもゾロを撃ち殺すのは可能だと言わんばかりに、ライフルを抱えたやつらまでいた。少しでも明確な殺意を持って動けば、あのライフルで撃ち抜かれるのだろう。こんなところで死ぬのはごめんだった。 そのとき、脳裏に一度だけ見たことのある、くいなの泣き顔が浮かんだ。こんなときになんだってんだ、とゾロは苦虫を噛み潰したような顔をする。 すると、あのときゾロに触れた一人の海兵が、まずは先陣を切った。ゾロの顎を無遠慮に掴み、持ち上げる。ゾロより幾分背の高い男は、ゾロの顔を見下ろしながら、気色悪く舌なめずりをした。 「こうしてロロノア・ゾロに出会えるとは運がいい。その目つき、どこまでも嬲って泣かせてやりたくなる」 「ハッ、悪趣味な野郎だな」 ゾロが卑下するような笑みを零し、海兵を見上げれば、海兵の目には途端熱が孕んだ。変態が、そう悪態をつく暇もなく、唇へ唾液に濡れた生温い舌を這わされる。 ゾロの唇を一心に舐め尽くす男を前に、ゾロは目を閉じることなく、周囲の海兵を睨みつけていた。だが、ゾロが何をしたところで、周囲の人間は性欲を掻き立てられるだけであった。屈しないゾロの姿に、周りの海兵は生唾を呑む。この強情な男が権力や力の前に屈し、ただ快楽に流される姿に没頭したい。 ゾロは唇を引き結び、気味の悪い男の舌を受け入れまいと必死だった。そんなゾロの様子に苛立ったのか、海兵は唇を離すと突然ゾロの頬を張った。衝撃に脳が揺れ、視界が霞む。唾液と共に、赤い血液が地面を濡らした。 再びゾロの顎を掴んだ海兵は、すかさず口内へ舌を割り込ませてくる。歯を立てることを阻止するためか、頬にきつく指先が食い込んでいた。 恍惚として口内を舐め尽くす男相手に、ゾロの中では明確な殺意が表れ始めた。ぐっと腕に力を込めるが、頑丈に巻きつけられた縄はびくともしない。荒く編まれたそれは、次々とゾロの皮膚を刺す。 「っ、ふ…んん」 昼間に与えられた暴力のせいで、固まった自身の血で鼻は塞がれ、ゾロは呼吸もままならない状態だった。 口内では軟体動物のような意思を持った舌が、めちゃくちゃに動き回る。喉奥まで襲われては息ができず、たまらず漏れた声に、密着していた海兵の性器が勃ち上がった。腹部に育ったそれを擦りつけられ、身の毛がよだつ。 逃げを打った舌を無理に引きずり出され、逃がさないとばかりに中央に歯が立てられた。舌の先端を尖らせた男の舌で刺激され、ゾロはたまらず眉を寄せる。そのとき、初めて感情を見せたゾロの姿を捉え、周囲の海兵は興奮したのか、渇いた唇を一心に濡らした。 見張りに呼ばれていた海兵の内の一人も、ライフルを両腕に抱え、視線だけでゾロを舐め回している。このまま、舌を噛み切られればどれだけ楽だろう。 片手でゾロの顎を掴んだまま、海兵はもう一方の手を腰に這わせてきた。触れられたところから、嫌悪感が一息に膨れ上がっていく。その手は腹巻きの上を辿り、服の上から腿を撫で上げた。 暴力は屁でもない。これさえ耐え抜けば、一ヶ月なぞなんてことはない。必死で自身に言い聞かせながら、ゾロは海兵の顔を脳裏に焼きつけた。一ヶ月生き延びたあと、必ず殺してやると胸に誓う。ゾロの気迫を感じ取ったのか、ただの興奮からか、海兵の掌には汗が滲んだ。 「ロロノア、お前もきちんと舌を動かせ。これは義務だ」 やっと、横暴な口づけから解放されたかと思いきや、海兵が発した言葉にゾロは眉をつり上げた。腹の底から、怒りや嫌悪といった様々な感情がせりあがってくる。 すると、男はライフルを持った二人の海兵を呼び、ゾロの両脇に立たせた。こめかみへ銃口を向けられ、ゾロは黒光りする空洞へ視線を遣る。ただの脅しだろうと思えたが、異様な空気感はただごとではなかった。今の海兵ならば、やりかねない。 何がこれほどまで海兵たちを駆り立てるのか、ゾロには分からないまま、海兵の手は腿の裏へ回る。撫でるように掌を上下させられ、興奮した下半身を打ちつけられる。ゾロは海兵を見下しながら、唾液で濡れた口許をどうにかしようと唾を吐き出した。膝裏に手を滑らせた海兵は、ゾロの両足を高く持ち上げて、その隙間に身体を滑り込ませてくる。 また性懲りもなく近づく唇をねめつけながら、ゾロはそれを受け入れる他なかった。縦横無尽に動き回る舌に、緩慢に動きを合わせていく。そんなゾロの態度が気に食わないのか、海兵はゾロの鳩尾に拳を突き入れた。ぎゅう、と内臓が窄まる感覚がする。吐血し、噎せるゾロなどお構いなしに、海兵はまた口づけを深めてきた。 苦しげに顔を歪めたゾロの目尻には、生理的な涙が今にも溢れんばかりに溜まっていた。海兵がそれを舐め取った瞬間、ゾロは反射的に目を閉じる。すると、瞼の上に気味が悪いほど優しく唇が落とされた。 分かっているな? そう言いたげに、海兵は優しくゾロの唇を啄ばんだ。ぬるりとした舌が、血に汚れたゾロの歯列を辿り、口を割り開かせる。口内に無理に入ってきても、一向に動かない舌の存在を憎み、ゾロは目を眇めた。 海兵が口端を上げる。ゾロは肉厚な舌へ自らの舌を絡め、歓喜を浮かばせる海兵を眼光鋭く睨みつけた。その間、海兵は猿のようにゾロの腹に性器を打ちつけている。快楽に身を震わせる男相手に、ゾロはなんの感情も湧いてはこなかった。 そのとき、腿を撫でさすっていた男の手が、ゾロの性器に辿り着いた。服の上から撫でられ、刺激するように揉まれるが、ゾロのものは一向に反応を示さない。この行為に快楽など何もなかった。 海兵は唇を解くと、不満げにゾロを睨みつけた。こればかりは、殴られようと脅されようと、どうすることもできない。ぎりりと、歯を軋ませる音が、ゾロの元まで届いた。 ただ、男だらけのこの場所で、持て余した性欲を満たそうとしているのだろう。それならば、さっさと突っ込んで終わりにすればいいものを、なぜ不満げな顔をするのかゾロには理解できなかった。まァ、確かに面白味はないかもな。随分と冷静な頭でそんなことを考える。 するとそのとき、海兵がゾロのボトムに手をかけた。すでに覚悟はできていたが、さすがにそのときが来ると、ゾロでさえ怖気づきそうになってしまう。キスだけで、あれほどの嫌悪感を味わったのだ。痛みなら耐えてみせる。だが、それ以上の苦痛が伴うのだ。 膝までボトムを下ろされ、片足を高く抱えられた。屈辱的な体勢から、ゾロはたまらず視線を逸らす。性器を直に握られ、荒々しい行為とはまるでそぐわない手つきで、優しく上下に擦り上げられる。それでも、ゾロのものは一向に反応を示さず、海兵は苛立ちを隠せずにいるようだった。さすがに焦れたのか、ゾロの口内へ無遠慮に指を突き入れる。 「舐めろ」 「んぐっ…」 喉奥まで無理に指をやられ、舌を押さえつけられる。海兵の指は、汗のためかなんなのか、どこか酸味を感じ、それとは別にせりあがる嘔吐感にゾロは噎せた。 この位置じゃしゃぶらせてやれないのが残念だ、海兵は振り返り、仲間へ向けてゾロを嘲った。高笑いをする男に釣られ、他の海兵も肩を揺らす。下種が、ゾロは声にならない悪態をついた。 男が手招きしたのを合図に、海兵たちがゾロに群がってくる。肩で息をするゾロの口内には、また指が突き入れられた。急かすように指の腹で舌をなぞられ、顔をしかめる。目の前の男へ鋭い視線を向けながら、ゾロはその指に舌を絡めた。 しゃぶれ、と頭上から冷めた声で囁かれ、手ぬぐいの結び目を捕まれる。ぐい、とそれを引かれ、無理に顔を持ち上げられた。ゾロの耳元で、ピアスが触れ合う音が奇妙に響く。口を窄めれば、まるで性器に見立てているかのように、男は指を抜き差しし始めた。ふ、ふ、とゾロは必死で呼吸をしながら、一本ずつ指を濡らしていく。 その間も、四方から海兵の手が伸びてくる。ゾロに指をしゃぶらせている海兵は、満足げにゾロの腫れた頬を覆った。 性器に手を伸ばされ、性懲りもなく上下に扱かれる。胸の尖りを指で摘まれ、もう片方には海兵の顔が埋められた。 腹巻きの上から縄で縛られているためか、シャツは脱がされない。服の上から、海兵たちは丹念にゾロの身体を愛撫する。ゾロは、様々な場所に這わされる手の感触や、口内を蹂躙する指をどこか遠くに感じながら、夜空に浮かぶ月を眺めていた。月の光がいつもより強いためか、それとも雲が多いのか。星は姿を現さない。 そのとき、突然網膜に色褪せた藁のようなものが映った。編まれた藁の周囲の一部が、赤い布で覆われている。瞼を瞬かせれば、すぐにその映像は立ち消えたが、妙な心事をゾロは覚えた。 |