火花を散らす

※双子の本名出てきます!



たった一瞬だけど、混じり合った視線は火花を散らした。


お酒、煙草、化粧品、香水。

単品ならまだしも、個性をぶつけ合い融合しないその臭いは未だに慣れない。


彼との決着をつけない限り、私はこの店に足を踏み入れる。
ならば早くケリをつけたいが、今回に限っては彼に用無しだ。
好きなだけ女と遊べばいい。



「まさか本当にナマエだったとはな」

「写真見ればわかるわよ。……ラピス」

「ここでは17号。それがオレの名だ」




形はどうであれ、私が指名をしたのは黒髪のサラサラヘアーで、首にオレンジ色のスカーフを巻いている男だ。
見た目は好印象を持つが、案外やんちゃしている過去を持つ。

彼らはドクターゲロという天才科学者の養子であり、我が財閥とも交流があるために何度か顔を合わせては悪戯をしていた。
私の事を知る、数少ない内のひとりだ。


「ラズリは?」

「ここのオーナー」

「あー………なんとなく読めてきた」

「遅すぎるんだよ、バーカ」

「ラズリ!」



上から降ってきた聞き覚えのある声は、表に出る機会が少ないオーナー、ラズリ。まさに美人という言葉が当てはまるほどの美しさに成長していた。
ランチさんや、カプセルコーポレーションのご令嬢とはまた別の美貌と言うのだろうか?

美男美女の双子とは、少し羨ましい気もする。


「うわー、ほんと懐かしいな」

「そんなことより、もっと酒飲みな。なんなら持ってきてやるさ」

「すみません金欠なんです」

「ナマエが喜ぶ情報付だよ」

「さすがオーナーですね参りました」




その日の夜は、忘れぬ夜となりました。
目の前のシャンパンタワーはキラキラと輝き、シャンパンコールで私たちを囲むホストたち。
当然カカロットって人も居て、また火花が散っていたと思う。
隣で上機嫌に笑うラズリからもらった肝心の情報は、


「カカロットは2つの顔がある」


でした。



私のお財布がすっからかんになるまで吸い上げられて手にした情報は、

既に存じ上げています!!





自分に寄ってくる女には甘い微笑み。

そしてその笑顔の下は、物を見るかのような冷たい眼。




結局、友人と楽しくお酒を飲みました。おしまい。

になってしまい、帰りの際17号に


「また来いよ」


と言われ、本来なら二度と来るか!と言いたかったが、お金が溜まり次第また来ると伝えた。


最後に店の奥を覗けば、相変わらず周りに女性だらけのナンバー1さん。

最後に一度目が合ったが、今度は火花が散る前に私から目をそらしたのだった。






(人生初のアルバイト……始めてみようと思います)
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