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after1

 
「は……赤葦さんと?」
「うん。えへへ」

月島にだけは赤葦さんと付き合うことになったと、翌日に報告した。前の彼氏と別れたことも言ってあったし、いろいろ話も聞いてくれてたし。
3人で一回ご飯に行ったけれど、あの時はまだ赤葦さんのことは素敵な先輩くらいにしか思っていなかった。さすがの月島も予想外の展開らしく、目を丸くして驚いている。

「……赤葦さんはもっとか弱い感じの人が好きだと思ってた」
「え? 私はか弱くないとでも?」
「言うまでもないね」

ハッピーな報告だというのに、こんな時でも月島は皮肉を忘れない。もっとテンション上げて「おめでとう」とか言ってくれればいいのに。

「てか月島って意外と赤葦さんと仲良いよね」
「まあ……高校からの付き合いだし」
「は!?」

ちょっと待ってそれ初耳。


***


「ああ、月島とは部活関係で交友があったんだよ」
「そうだったんですか……」

週末の仕事が終わった後はどちらかの家で晩酌をするのが定番になってきていた。小さいテーブルで塩ちゃんこ鍋をつつきながら今日の出来事を話し、意外な関係を知る。
赤葦さんは中学、高校、大学とバレーをやっていたらしい。月島がバレーやってたのは知らなかった。学生時代の部活の話なんてしたことなかったし、そもそも月島は自分のことをあまり話さない。

「あれ、でも月島って確か東北出身じゃ……」
「年に何回か合宿一緒にやってて、全国大会でも会ってたしね」
「え、全国大会行くほど強かったんですか!」
「全国は……そうだね、毎年行ってた」
「すごい!」

毎年全国行く程の強豪校だったなんて初めて知った。正直、今の赤葦さんにスポーツで汗を流すようなイメージは無い。勝って笑ったり、負けて泣いたり、したんだろうか。私の知らない赤葦さんはまだまだたくさんいる。

「赤葦さんがバレーやってるとこ、見てみたいなあ」
「もう体動かないよ」
「いやいや、いい体してるじゃないですか!」
「……」

やばい、「いい体してる」なんてオヤジ臭い言い方をしてしまった。とはいえ、赤葦さんの筋肉質な体に男性としての魅力を感じているのは事実だ。決して私が痴女だというわけではなく、女としての一般的な意見である。
赤葦さんのジト目に捕まらないようにあちこちに視線を泳がせても、逃げられる気がしなかった。

「……スケベ」
「!」

そして次の瞬間、赤葦さんは色気たっぷりな表情で私を押し倒してきた。体の自由も、視線も、そして唇も奪われた。スケベなのはどっちですかと言いたくなるような、いやらしいキスに脳みそが占領される。BGM替わりにつけていたテレビはいつの間にか消えていた。

「なまえ、肌白いよね」
「ん、はい、あまり外出ないし……」
「ここのホクロ、えろくて好き」
「……!」

赤葦さんの指が私の首の後ろを撫でてきて背筋がゾクゾクした。至近距離で私を見つめる瞳は熱っぽい。赤葦さんに求められることが嬉しくて、私も赤葦さんの顔を引き寄せてキスをした。私の熱も感じてもらえるように、じっくりと。

「名前呼んで」
「……京治さんのスケベ」
「うん、そうだよ」

私の言葉をあっさり肯定して自分の下唇を舐めた赤葦さんは、「スケベ」なんて言葉じゃ足りないくらいいやらしかった。



( 2018.12 )
( 2022.6 修正 )

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