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after3

 
「テレビ面白いのやってる?」
「んー微妙。録画見る?」
「おー」

お風呂から出た鉄朗が缶ビールを片手に私の隣に腰をかけた。夜の9時。テーブルに準備しておいた簡単なつまみと笑えるバラエティ番組を肴に鉄朗の晩酌が始まる。
リアルタイムでは面白い番組がやってなかったから、たくさん溜まった録画リストの中から深夜のネタ番組を選んだ。私も鉄朗も司会のお笑い芸人さんが好きで毎週録画予約しているやつだ。

「あはは」
「ははは」

テレビを見ながら同じタイミングで笑うと少し嬉しくなる。笑いのツボが同じっていうのは結婚相手の条件として結構重要だと最近よく思う。
結婚してから周囲に「新婚生活どう?」とよく聞かれる。ラブラブエピソードを期待されてるのはわかってるけど、交際期間が長く半同棲も経た私達にそんなものは提供できない。行ってきますのちゅーをしてるわけでもないし毎日気合いの入れた手料理を作ってるわけでもない。期待に添えられず申し訳ないと流すのがお決まりだった。

「ちょっと」
「んー?」

つまみを食べ終えて手持ち無沙汰になった鉄朗の右手が、私の胸をやわやわと触ってきた。キッと睨んでもヘラヘラと笑っていて効果は無い。

「うまいつまみと酒とおっぱいがあれば俺は幸せです」
「今日は酔っ払いの登場が早いなぁ」

アルコールが入るとベタベタ触ってくるのは昔からだ。いちゃついてると捉えられなくもないけど、いかんせん言ってることがオヤジくさすぎる。

「ん……」
「はは、今の見た?やべー」

軽く叩いて追い払った手は性懲りもなく服の中に侵入してきて、だんだんとその触り方がいやらしくなってきた。平然とテレビを見続ける鉄朗に対して、私は胸に与えられる刺激が気になって番組に集中できなくなってきた。

「鉄朗……」
「ん?」

熱が溜まってきた私の呼びかけに、鉄朗はわざとらしく首を傾げた。わかってるくせに。鉄朗がその気にさせたんだから、ちゃんと責任とってもらわないと困る。

「……お風呂入ってくる」
「おー、ベッドで待ってる」

結局録画は半分くらいしか見ることができなかった。こんな感じで我が家のハードディスクの容量は圧迫されていく一方だ。





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