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after3

※捏造大学生設定



「こんなんでごめんね」
「全然。うまいし」
「ありがとう」

一か月ぶりに会えた倫太郎くんに、朝食として振る舞うのがただのトーストと目玉焼きで申し訳ないと思う。もっとこう……焼き魚とかお味噌汁とか用意できたら良かったんだけど。昨日行ったユニバがめちゃくちゃ楽しくて朝ごはんのことまで全然頭が回らなかった。もっと出来る彼女になりたい。

「いてて……筋肉痛きてる」
「……結構歩いたからね」

一日中歩き回ったせいか、立ったり座ったりするだけで筋肉が痛い。普段運動をしない私にとってはユニバで一日過ごすだけでかなりの運動量になってまうらしい。
それに比べて大学でもバレーを頑張ってる倫太郎くんは全然平気そうや。

「なまえ、運動してないでしょ」
「うん……ふ、太ったかな!?」

大学生になって体育という必修科目が無くなった今、私の運動不足は結構深刻な問題や。ほっぺたとか下っ腹にお肉がついてきた気もする。毎日鏡見てたらわからないけど、久しぶりに会う倫太郎くんの目には変化が顕著に見えてるのかもしれない。

「太ってはないけど、もうちょっと体力はつけた方がいいんじゃないかな」
「そ、そうやんな」

太ったって言われなくて安心したものの、体力つけた方がいいっていつのはド正論だと思った。昨日のユニバではすぐに疲れてしまう私を気遣って、こまめに休憩をとってくれていた。私にもっと体力があったらあと一つか二つ、乗り物に乗れたかもしれないと思うと申し訳ない。

「けどお腹も筋肉痛なんは何でやろ?」
「……」

いっぱい歩いて足腰が筋肉痛なのはわかる。けど腹筋……特に内側の方が筋肉痛になってるのは何でやろか。そんな腹筋使うような乗り物はなかったと思う。変に力が入ってたんかな。

「腹筋は……昨日の夜が原因じゃない?」
「夜? ……!」

昨日の夜と言われて、そういえば思い当たる節がひとつあった。確かに昨日の夜は運動というか、それに値する動きをした。必死だったしあまり意識していなかったけど、普段使わない腹筋の内側に力が入っていたってことなんだろうか。自分で言い出したことが思わぬ方向に繋がってしまってめちゃくちゃ恥ずかしい。そういうつもりで言ったわけじゃないのに。

「いっぱいしたもんね?」
「そっ、それは、倫太郎くんが……」

照れる私とは逆に倫太郎くんはニヤニヤと楽しそうな笑みを浮かべた。あかん、意地悪モードに突入してしまう。

「俺のせい?なまえが"もっと"って言ったんだよ」
「!」
「ほら、ちゃんと思い出して」

違うと意地になって否定したら意地悪がエスカレートしそうで言えなかった。事実では、あるし。でもそれは倫太郎くんが意地悪したからだ。気持ちよくてどうなっちゃうかわかんなくて、「いや」を連呼してたら「じゃあやめる?」って止められて……言わされたようなものだと思う。

「……」
「ね?」

昨日の夜のことを鮮明に思い出して余計に恥ずかしくなってきた。
高校卒業後、私は県内の大学へ、倫太郎くんは県外の大学へ進学した。遠距離になって毎日連絡はとっているものの、相変わらず倫太郎くんはバレーが忙しいからこうやってゆっくりデートできるのは月に一回くらいだ。久しぶりの倫太郎くんが嬉しくて、快感に身を任せてはしたない姿を見せてしまっていたかもしれない。

「フフ、ごめん怒った?」
「……怒っとらんし」
「じゃあこっち向いてよ」
「嫌や、恥ずかしい」
「……どーん」
「!?」

恥ずかしすぎて倫太郎くんの視線から必死に逃げていると、突然肩を軽く押されて私の体が後ろに傾く。倒れないように堪えようとしたけど筋肉痛を患ってる腹筋は役に立たず、あっけなく私の背中は床についてしまった。

「じゃあ騎乗位なら大丈夫?」
「え……え!?」
「バックもいけるかな」
「えっと……?」

私を押し倒した倫太郎くんは意地悪で楽しそうな笑みを浮かべている。精一杯シラを切ろうとしても逃げられる気がしない。うそ、もしかして今から……?
今日の予定は駅前でもブラブラしようかと言っていたくらいで、具体的には決まっていない。昨日もあんなにしたのに……朝からそんな、ええんかな。

「ね、しよ?」
「……うん。」

理性のあるようなことを考えてはみたけど、私は倫太郎くんのお誘いに頷く以外の選択肢を最初から持っていなかった。結局私も1ヵ月ぶりの倫太郎くんをもっと近くに感じたいと思ってしまったのだ。



( 2018.10 )
( 2022.5 修正 )

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