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「#エロ」のBL小説を読む
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- ナノ -
「名前ー、二次会行くー?」
「どうしようかな。」
「行こうよ!名前いないと寂しい!」
「えー?じゃあ行こうかな。」


文化祭の打ち上げは焼肉食べ放題。100分の制限時間が終わって一度しめたあと、クラスの中心人物が大きな声をあげて二次会の参加者を募る。
どうしようか迷っていたところに友人から声をかけられて私も参加することにした。


「優子はー?」
「ごめーん、彼氏に怒られちゃうからもう帰るね!」


最終的に残ったのはクラスの3分の1くらいの人数だった。みんなが場所を決めてるうちに一応私も恋人に連絡を入れることにした。こんなことでいちいち目くじらをたてる器の小さい彼氏じゃないと思うけど、一応。


「名字さんは大丈夫なの?」
「え?」
「月島だっけ?付き合ってんでしょ。」
「うん。連絡は入れといたから大丈夫だと思う。」


二次会行ってくる、と簡潔に打った文面を送信したところで鈴木くんに声をかけられた。


「へー……俺なら絶対やだなー。」
「え?」
「普通に嫌じゃん?彼女が自分の知らないところで他の男と仲良くしてんの。」
「うーん……蛍はそういうタイプじゃないかな。」


確かに恋人が自分以外の異性と仲良くしてたらモヤモヤするかもしれないけど、打ち上げの二次会に参加することはそれには当てはまらないんじゃないのかな。恋人だからって相手の交友関係を制限する権限はないと思う。少なくとも私はそういうことをして欲しくないし、したくもない。そもそも二次会に行くイコール男子と仲良くするってなること自体、同意しかねる。
いろいろ思うところはあるけれどそれを今鈴木くんに伝える気はない。


「カラオケ予約とれたってー!」


どうやら二次会はカラオケになったみたいだ。
なんとなく成り行きで私は鈴木くんと一緒に集団の一番後ろを歩いた。鈴木くんの歩みはやけに遅い。もう少しペース上げないと、信号にひっかかったらみんなとはぐれちゃいそうなんだけどな。


「名字さんはさ、何で月島と付き合ってんの?」
「えー?」
「付き合ってどれくらい?」
「半年くらいかな。」
「ふーん……楽しい?」


鈴木くんが意図してることがわかってきたかもしれない。なんか、やだな。私が蛍のどこが好きかとか付き合った期間とか楽しいかどうかなんて、私以外には必要のない情報だと思う。


「……ちょっとごめん。」


どうやってあしらおうか言葉を探していると、蛍から着信がきた。電話をかけてくるのは珍しい。もしかして何かあったんじゃないかと思って私は迷わず鈴木くんの前で通話ボタンを押した。


「どうしたの?」
『今どこ?』


機械越しに変換された蛍の声は無機質で、どこかご機嫌ななめなような気がした。


「駅北の……交番の近く。」
『僕も今その辺にいるんだけど。』
「!」


その辺にいると言われて周りを見渡すとすぐに見つけることができた。190センチを見つけるのは簡単だ。蛍の身長のおかげで待ち合わせに困ったことはない。


「ちょっと待ってて。」


私は通話は切らずに鈴木くんに向き合った。


「鈴木くんにどう見えてるかは気にしないけど、私は蛍のことが大好きだよ。」
「……!」
「心配してくれてありがとう。私やっぱり二次会やめとくってみんなに言っといて。」


できるだけ波風立たないように言葉を選んではっきりと断った。調和を重視しすぎて自分の気持ちを押し殺すつもりはない。言うべきことは言わなきゃダメだ。
鈴木くんは「わかった」と頷いて私を見送ってくれた。


「……行かなくていいの?」
「蛍が行くなって言うからね。」
「別にそんなこと言ってないけど。」
「ふふ、私にはそう聞こえたよ。」


信号近くの蛍のところまで駆け寄ると190センチの高さから見下ろされた。人によっては威圧感を感じるのかもしれないけど、私は蛍がとても優しくて可愛らしい人だと知ってるからノーダメージだ。


「心配してくれたの?」
「たまたま通りかかっただけだし。」
「こんな時間に?蛍も二次会行ってたの?」
「……」


蛍のクラスは学校近くの定食屋さんが打ち上げ会場だったはずだ。家とも遠いし蛍が二次会に行くなんてありえないから、蛍がここにいる理由は"私"でほぼ間違いないと思う。
いくら問い詰めても蛍から素直な言葉が出てくることはないだろう。


「んふふ。」
「笑うな。」


これ以上は問い詰めないであげよう。蛍が今ここにいるっていう事実だけで十分だ。なんだかんだ私も単純な女のようで、今日は腕が触れ合うくらいの距離で蛍の隣に並んだ。




■■
・優れたバランス感覚の持ち主
・周囲とうまくやっていける要領の良さ
・みんなが平等になるように気配りすることができる。波風立てることもない
・自分の意思も尊重できる
・他人の評価に縛られない
・お互いのことだけを見つめ合うような視界の狭い恋愛を嫌う
・恋愛以外にも仕事や友人家族との交流も楽しみたい
・恋愛を常に最優先させるようなことはなくさっぱりとした付き合い方をしたい
・対等な大人の付き合い方ができる
・自分と同じ知的レベルの相手が吉


リクエストありがとうございました!