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「すげーー何今の!」
「え?」
「もう一回やって!」


クラスのみんなのプリントを集めて数を数えていると、いつの間にか私の目の前にいた木兎くんがキラキラした目を向けていた。「すごい」と目を輝かせて言ってくれたのは、多分私のプリントの数え方だと思う。親がお札を数えてるのを見て速くて効率的だなって思って真似た数え方だ。リクエスト通り木兎くんの目の前でやってみせると、また大声で称賛してくれた。そんなにすごいことでもないんだけどな。


「それどうやんの?教えて!」
「えー……」


木兎くんはうちのクラスのムードメーカー的な存在で、ちょっと……っていうか結構おバカなところはあるけどそれさえも愛嬌に変えてしまう、天性の愛されキャラだ。
こんな私の生きていく上で役に立たない技術に興味を持って声をかけてくるなんて……正直言って変だと思う。


「木兎くんってよくわからないね。」
「エッ、そう?」
「うん。」


一見単純そうに見えるけど木兎くんは何を考えてるかわからない。というより、思考回路が理解できないって言う方が正しいかもしれない。何でこの場面でそういうこと言っちゃうんだろうとか、疑問に対して出した答えが斜め上だったり。木兎くんは私が今まで出会ったどんなタイプの人とも違って逸脱していた。


「うーん……俺と一日一緒にいたらわかるんじゃない?」
「!」












そんな会話がきっかけで流れるままに休日に遊ぶ約束をしてしまったけど……あれ?これってデートなのでは??
今更すぎる疑問を抱きながら待ち合わせ場所に行くと既にそこには木兎くんがいた。まだ約束の時間の5分前なのに。


「お待たせ。ごめん、待たせちゃった?」
「んーん!俺が楽しみで早く来すぎただけ!どこ行こっか?」


私を見つけた木兎くんはにっこりと笑ってさらっと意味深なことを言ってきた。なんだか教室で笑いの中心にいる木兎くんとのギャップを感じて早々にペースを乱されてしまった。こういうイケメン対応もできるのか……新しい発見だ。


「木兎くんの行きたいところ行こうよ。」
「!」


乱されたペースを冷静に落ち着かせる。今日の私の目的は木兎くんの思考回路を少しでも理解すること。木兎くんが何に興味を持って何に心を動かされるのかを知りたい。目的を見失ってはいけない。


「名字さんはさ、体動かすの好き?」
「うん。」

















「楽しかったー!」


木兎くんが提案してきたのはスポーツやゲームが楽しめる、よくあるアミューズメント施設だった。何でも最近新設されたトランポリンをやってみたいとのことだった。


「名字さんすげー飛んでたね。」
「うん、得意なのかも。」


私も体を動かすのは好きだ。初めてのトランポリンは笑っちゃう程よくわからなくて、でも段々とコツが掴めてきて他のスポーツでは体験できない感覚を味わえた気がする。私はどちらかと言うと向いてるみたいで、木兎くんはできてはいるんだけど、筋肉量が多いからか音がすごくてトランポリンが壊れちゃうんじゃないかとハラハラした。
他にも卓球とかバドミントンとか、館内でできるスポーツはほぼ網羅したと思う。もちろん木兎くんお得意のバレーボールも。一生懸命レシーブやアタックのコツを教えてくれたけど説明が感覚的すぎてよくわからなかった。でも、私が上手にレシーブできると自分のことのように喜んでくれるものだから自然ともっと上手くなりたいな、と思わされた。


「どう?俺のことよくわかった?」
「!」


家へ帰る道中で聞かれて、そういえばそんな目的だったなあと思い出した。結局私は木兎くんの思考回路を理解することなんてできなかったし、正直今となってはもうどうでもよくなってきていた。


「俺は今日、名字さんのこといっぱい知れてすごく楽しかった。」
「……うん、私も。」
「!」


それに……今日一日木兎くんと一緒に過ごして、木兎くんが私に抱いてる気持ちはひしひしと伝わってきていた。今思えばあの時声をかけてくれたのは、私の技術に感心したからじゃなくて私自身に興味があったからなのかなと推測して、むず痒い気持ちになった。
私だって、木兎くんの素敵なところをたくさん知ることができて嬉しかった。


「私も木兎くんのこと、まだ全部は理解できてないと思うんだけど……好きだなあって思ったよ。」
「!?」
「もっといっぱい知りたいから、私と付き合ってください。」
「え!?な、な、何で名字さんが言っちゃうの!?」


今日思ったことを素直に伝えると木兎くんは顔を真っ赤にしてわかりやすく慌てふためいた。当たり前だけどこうやって見ると普通の男の子だ。
もしかしたら木兎くんなりの告白のプランがあったのかもしれない。だとしたら申し訳ないことをしちゃったかな。


「ふふ、木兎くんでもモジモジするんだね。」
「するよ!好きだもん!!」
「あははっ。」


好きな人の思考回路なんて考えるだけ無駄だ。人の気持ちなんて操作できるものでもないしわからない方がドキドキして楽しいもん。木兎くんとのこれからを想像すると、もうそれだけで幸せだった。





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・探求心が強い。自分で知りたいから学習する
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・人間としてとても深みのある女性
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