選択企画(高校編) | ナノ
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3.稲荷崎高校

高校2年生になるタイミングでお父さんの転勤が決まり、兵庫県に引っ越して私が編入したのは稲荷崎高校。
初日はすごく緊張したけどクラスのみんなは温かく私を迎え入れてくれて安心した。
こっちに来て2週間……たまに方言とか地域性に戸惑うことはあるけれど、少しずつ馴染めてきていると思う。


「名前ちゃん部活決めたー?」
「……どうしよう……」


そろそろ入部届を提出しなければならない。
前の高校では吹奏楽部に入っていたから、なんとなくこっちでも吹奏楽を続ければいいかなと思っていた。
いかし稲荷崎高校の吹奏楽部はかなりの強豪校らしく、昨日見学に行って圧倒されてしまった。
……正直、ついていけるか不安だ。


「悩んどるん?」
「前の学校では吹奏楽部だったんだけどね……」
「あー……うちの吹奏楽部厳しいよ。」
「だよね……。」
「平日も結構遅くまでやってるみたいやし、上下関係厳しいし、よく泣いてる子見かけるし……」
「……」


優子ちゃんから吹奏楽部の実態を聞いて普通に怖気づいた。吹奏楽は好きだけど、厳しすぎるのはちょっとなあ……。


「けど、バレー部の応援ができるんはええよなあ。」
「バレー部の応援?」
「うちの男バレ強くてね、宮兄弟がバレー部なんよ。」
「そうなんだ。」


宮兄弟とは、稲荷崎が誇るイケメンの双子……編入初日に教えてもらった。そして双子の一人である宮侑くんは同じクラスだ。確かにかっこいいし身長も高いし明るいし、人気があるのにも納得した。


「まあバレー部の応援は吹奏楽部やなくてもできるし、部活は強制と違うから無理に入らなくてええんやない?」
「……うん。」

















放課後、吹奏楽部の楽器の音を聞きながら校舎を出た。こうやって聞こえてくる音も上手で私とはレベルが違うなと思ってしまう。


「……!」


ふと通りかかった体育館に目を向けたら、宮侑くんがいた。双子のもう一人はまだ見たことないけど、多分侑くんの方で合ってると思う。
侑くんは床に寝転がって、ひたすらボールをぽんぽんと上げてる。バレーのことはよくわからないけど、一定の間隔で綺麗にボールを上げることは多分誰もができることじゃないと思う。
単調な動作を繰り返してるだけのように見えて、おそらくそこには凝縮された思考があるのがなんとなくわかった。ひたすら同じ練習を繰り返すことができるのも一つの才能だ。根気がなければ出来ない。


「……」


なんとなく見つめていたらふと、侑くんの視線がこっちに向けられた。視線ががっちり合ってしまって脈が一気に速くなった。私は反射的に視線を逸らして足を動かした。
……部活、どうしようかなあ……。




1.吹奏楽部に入る

2.部活には入らない





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