好きあり!
※幼少設定
ある日のフーシャ村。
マキノの酒場には最近すっかり常連となってしまった赤髪海賊団の面々が集まり揚々と騒いでいた。
一人カウンターに座るシャンクスの隣にはちょこんと、子どもの背中。
「ねえっ、シャンクスはどんな女の人が好きなの?」
「んー?」
少女…ナマエはオレンジジュースの入ったグラスを両手で持ちながら隣のシャンクスに聞いた。
緊張しているのだろうか、少し声は上ずっていて、真っ赤な顔でちらちらと下からシャンクスの顔を伺っている。
「だっはっはっは!どうしたラナ、急に。」
「い、いいから答えてよっ!!」
「えーーー」
アルコールが入ってすっかり気分が良くなったシャンクスはそれに気付かず、ナマエの頭をぽんぽんと撫でる。
シャンクスにとっては何気ない行動でも、ナマエの心臓を煩くさせるには十分で、ナマエは赤い顔を見られないようにそっぽを向いた。
「…顔は可愛くないとダメ?」
「まァ……良いに越した事はねェけどな。」
「大人しい方がいい?」
「んー…それもいいなァ…」
「胸は大きい方が好き?」
「だっはっは!そりゃそーだ!」
酔っ払ったシャンクスはナマエの質問に適当に答えていく。
ナマエはシャンクスの理想が自分とはどんどんかけ離れていくことに唇をかんだ。
マキノを含め、周りはその様子を微笑ましく見守る。
「年下は、ダメ…?」
「……歳は関係ねェよ。」
「本当っ!?」
「ああ。」
最後の質問の答えを聞いて、ナマエが嬉しそうに顔を上げた。
わかりやすくて可愛い反応にマキノから笑みがこぼれた。
喜ぶナマエに対して、シャンクスはグラスに残っていた酒を飲み干すと更につけたした。
「だがガキはダメだ。」
「!」
「おじさんはセクシーでどこか挑発的な女が大好きだ。憶えとけ、ナマエ。」
「………」
「セクシー」「挑発的」……自分とは程遠いキーワードだ。
今は子供だから当たり前だが、成長しても果たしてそんな女性になれるかもわからない。
俯いて黙ってしまったナマエを見て、シャンクスは少しからかいすぎたかと機嫌を取ろうとしたその時。
「っ……」
「!」
ナマエは急に顔を上げ、シャンクスを睨みつけるとその頬にキスをした。
それは挑発的なキスというよりは、精一杯のちゅう。
それでも不意をつかれたシャンクスは珍しく呆気に取られてしまった。
「わ、私だって、大きくなったら胸とか大きくなるし、セクシーにだってなるんだから!!」
顔を真っ赤にしたナマエはそれだけ言って酒場から逃げるように出て行った。
「ふふっ…」
「………」
ナマエが出て行くとマキノから笑い声が漏れた。シャンクスは依然として動かない。
「ぷっ……はっはっはっは!!」
「ぎゃははは!やられたな、お頭!」
「まったく可愛いなァナマエは。」
そして再び賑やかになる酒場。
シャンクスに一途な想いをぶつけるナマエは本当に可愛くて、クルー達はナマエのことを自分の娘のように可愛がっている。
ナマエの小さな勇気に乾杯、と景気よくグラスがぶつかった。
「その言葉…憶えとけよ、ナマエ。」
■■
しかしこのヒロインは私の中でルフィ落ちです。
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