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16

 
ACコーポレーションのプレゼンはなかなか上手くいったと思う。
会議は終始和やかな雰囲気だったし、部長も向こうの上司と話が弾んでいた。プレゼンの最後には大きな拍手を貰って無事取再開が決まった。


「俺は本社寄って帰るから。時間余ってるし遊んでってもいいぞー。」
「はい、ありがとうございました。」


部長は大手企業の獲得に上機嫌だ。社長に報告するため都内の別に場所にある本社へ寄っていくと別れた。


「はー……緊張したー!」
「俺も。」
「ふふ、ちょっとしてたね。」


いつも同じような仕事をこなす私にとって、たまにはこういう緊張感も必要だと思う。この機会を与えてくれた赤葦くんに感謝だ。
流石の赤葦くんもプレゼン中は少し緊張してるのがわかった。……と言っても微妙な変化だったけど。最近色んな表情を見せてくれるおかげで、赤葦くんの些細な変化がわかるようになってきたかもしれない。


「部長もああ言ってたし、寄り道してこうか。」
「うん。公園散歩しよ。」


会社に戻るにはまだ早い。上司の許可もあることだし、少し時間を潰してから帰社することにした。


「だいぶ涼しくなってきたね。」
「うん。」


1週間くらい前までは暑かったのに、昨日から涼しい風が吹いていて秋を肌で感じた。
私と赤葦くんは近場の公園を歩き、池の前にあるベンチに腰を下ろした。遊具のある場所から聞こえる子供の声をBGMに、穏やかな時間が流れる。近くに人はいない。今夜食事の約束をしてるけど、今のこの2人きりのタイミングで言ってしまおうか。


「赤葦くん……」
「……待って、緊張してきた。」


私のただならぬ雰囲気を感じ取ったのか赤葦くんが背筋を伸ばした。


「好き。」
「……待ってって言ったんだけど。」
「うん、我慢できなかった。」


デートをした日に私の気持ちはもう決まっていた。正直言いたくてウズウズしていたから待ってというのは無理な注文だった。誰だっていい報告は早くしたいって思うでしょ?


「本当に?」
「うん。」
「ちゃんと考えたんだよね?」
「うん。」
「……はああ〜……。」


私が食い気味で肯定すると、赤葦くんは顔に手をあてて俯いてしまった。


「赤葦くん?」
「見ないで、ニヤけてるから。」
「えー、見せてよ。」


私にニヤけ顔を見られたくないみたいだ。覗き込んだらほんのり赤くなった顔で睨んできた。可愛い。


「……キスするよ。」
「!」


赤葦くんは脅しのつもりで言ったんだろう。でもそれを聞いて逃げる理由はなかった。
一応回りを見渡して人気がないことを確認する。


「それはもう、脅しにはならないよ。」
「!」


そしてもう一度赤葦くんに顔を近づけて、目を瞑った。


「……好き。」
「うん。」





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完結です。閲覧、応援コメントありがとうございました!





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