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02

 
定時であがった私は帰りにいつものコンビニに寄った。晩御飯の後のデザートを買うためだ。最近のお気に入りは杏仁豆腐。


「……」


いつもの杏仁豆腐を手に取ろうとしたけど、デザート棚の前にはガタイのいい男の人がいたから先にお酒を買うことにした。
……と言っても飲むお酒は大体決まっている。私がお酒を手に取った後も男の人は依然としてデザート棚の前にいた。


「うーん……」


顎に手を当てて腰を曲げてわかりやすく悩んでいる。どのデザートを食べるか迷ってるんだとしたら可愛いな。
でもコンビニに長居したらついつい余計なものまで買ってしまいそう。少し狭いけど手を伸ばして取ることにした。


「すみません。」
「! アッ、スミマセン!気付かなかった!」
「いえ、大丈夫です。」


こういうことに正直イラっとする時もあるけど、不思議とその人に対してネガティブな印象は持たなかった。本当に真剣に悩んでて気づかなかったんだろうな。


「あー、杏仁豆腐もいいなー。」
「ふふ、美味しいですよ。」


男の人は私が手に取った杏仁豆腐を羨ましそうに見つめた。きっと思ったことをそのまま口にしちゃうタイプなんだろう。私とあまり年齢は変わらなさそうだけど、いとこの小学生と雰囲気が似てるなんて失礼なことを思った。



+++



「……っていうことがあったんだよね、昨日。」
「へえ。」
「可愛くない?」
「その感情は男にはわからないと思うよ。」
「えー。」


昨日のコンビニでの出来事を赤葦くんに話しても、私が期待したような反応は貰えなかった。無邪気な男の人を可愛いと思うのは確かに女特有の感情なのかもしれない。


「……一目惚れでもした?」
「え?違うよー。そんな展開流石に期待しない。」
「ふーん。」


流石にコンビニで会った見ず知らずの人を好きになることはない。仲良くなれたら楽しそうだな、とは思ったけど。


「今日昼飯は?」
「ふっふっふ、今日はお弁当作ってきたんだー。」
「……すごいじゃん。」
「たまにはね。」
「じゃあ食堂で食おうよ。」
「うん。」


お昼は社員食堂やコンビニ弁当で済ませることが多いけどたまにはこういうことをしとかないとなと。いざという時にこういうことが出来ないと困るなと思うわけですよ。


「……」
「あんま見ないでよ。」
「何で?」
「そんな大したものじゃないから。」


成り行きで赤葦くんとご飯を食べることになった。赤葦くんは私のお弁当をじろじろと見てきた。得意げに言ったものの大して手の込んだものは作ってないし冷凍食品に大いに頼ってる部分があるからあまり見ないでほしい。


「生姜焼き美味しそう……」
「……食う?」
「うん。」
「じゃあ玉子焼きちょうだい。」
「こんなもので良ければ喜んで。」


珍しく頑張ったというのに、赤葦くんが私の目の前で豚の生姜焼き定食を美味しそうに頬張るものだからやっぱり食堂って素晴らしいなと思わされた。




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