※緑間はほぼでない※





「ああああ!!高尾くん助けて!!」


廊下で見つけた高尾くんの背中に飛びつく。流石バスケ部倒れることなく私の身体を支えてくれる。もしかしたらそれはなんちゃらアイっていうので私が走って来てるのに気づいてたのかもしれないけど、いやでも常時なんとかアイってわけでもないだろう。まぁ、とにかく今はそんなことはどうでもいい。

「またかよ苗字ちゃん。」
「お願い!高尾くん一緒にいて!!」
「部活以外でホークアイ使うの疲れんだけどなぁ…」
「お願い!高尾くん!あなたに私の平穏はかかってるの!!」
「…しっかたねぇな〜」

縋り付いた名前に渋々といった様子でそれを受け入れる高尾。そんな高尾に名前は口元を綻ばせて高尾の背中にピタリとはりつく。中学頃、キセキの世代なんていう大層な名前のついたハゲ共になぜか言いよられていたが、誰にも告げずに死ぬ程勉強して秀徳に入ったのだ。まさか馬鹿な私が秀徳に入れるとは誰も思いもしないだろう。ちなみにキセキ共には嘘の高校名を言ってある。完璧だ。だがしかしそこで出会ったのが緑間真太郎。私に言いよっていた奴の1人。最低なハゲ野郎だ。ほんと、緑間と再会した瞬間死にたかったけど高尾くんがいてよかった!!

「何?また真ちゃんに追われてんの?」
「うん!ほんと私高尾くんいなかったら登校拒否になってたかも。」
「俺、真ちゃんにバレたら殺されそうだなぁ…」
「大丈夫だって!今んとこ一回もバレてないし!」

ニコニコと笑って名前は高尾の背を押して裏庭へと高尾を誘導する。それに高尾は抗わずに名前と共に裏庭へと向かう。名前とこうして緑間には秘密で一緒に昼食を共にして何回目になるだろう。と高尾は心の中で小さくため息を吐く。別に名前が嫌いなわけではない。むしろ好ましい方で緑間抜きだったら自分だって彼女を好きだったかもしれない。だけど、それ以前に彼女は緑間の想い人なのだ。……まぁ、全く想いは通じてないようだけど。入学式の日のあの緑間と名前の熱い(一方的な)抱擁を思い出す。俺とお前は運命で繋がっている!!だっけか、台詞だけ聞いたらロマンチックかもしんねーけど、あの時の苗字ちゃん白目向いてぶっ倒れてたからね。まったく真ちゃんの恋がみのる見込みないわー。じゅーと先ほど買ったばかりのパックの牛乳を飲む。その音にお弁当を食べていた苗字ちゃんは顔を上げてこちらを見る。

「あれ?高尾くんお弁当は食べ終わったんだよね?」
「んにゃ。まだだよ。」
「え!ごめん!緑間が食べ終わってたからてっきり食べ終わってるとばっかり…!」
「え、ひでー真ちゃん先食べちゃってたの!?」
「うん。ごめんよ!何かおかずいる?」
「え!いいの!?ラッキー!」

お弁当を高尾の前へと置いて名前は持っていたリュックの中を「何かあったかな…」とさぐる。そんな名前を他所に高尾は名前の苗字家特性のおかずに舌鼓を打つ。

「うめー!」
「ふひひっでしょ!特にこれが美味しくて私のお気に入り!」
「へぇ、うまそうだなー!」

高尾はチラリと名前と名前の指差すおかずを見る。そんな高尾の視線に名前は得意気な顔をして「でもラスト1つだから高尾くんにはあげれませーん!」と高尾から弁当を遠ざけてふざける。そんな名前に高尾は「えー苗字ちゃんケチぃ」と弁当を見上げて大袈裟に悔しがる。

「なーんてね!」

そんな高尾に名前はわははと笑っておかずを高尾の口に放り込む。「っんむ!?」予想外の出来事に高尾は目を見開く。そんな高尾を名前がニヤニヤした顔で見る。そんな名前のわかりやすい表情に高尾ははあー、ほんと苗字ちゃん可愛いわ。と癒される。ほんと、真ちゃんの好きな子じゃなかったら好きになってたかも!なーんてね!


ガサリ


突然すぐそばの茂みが揺れる。その音に今まで笑っていた苗字ちゃんが素早く立ち上がる。おー、運動神経いい。かくいう俺もすぐにホークアイであたりを警戒する。周りの様子を伺っている高尾に名前はすぐに立ったまま、残り少ないお弁当を口に放り込みリュックへと押し込む。その際、高尾の飲んでいた牛乳のすぐ傍に鞄から出したパンやらお菓子を置く。リュックを背負って、モゴモゴと口の中のものを咀嚼しながらいつでも走り出せるように背中にリュックを背負う。この裏庭には木が多いし、校舎裏にありほとんど人がくることがない。それに名前と高尾がいるのはそのまた奥の奥の名前が緑間から逃げている間に見つけた秘密の場所と言ってもいいような寂れた場所だった。未だに一度も緑間に見つかったことはないが、警戒に超したことはない。ぴりぴりとした瞬間がいくらか続いた後、名前のすぐそばからっぴょんと突然小さな何かが跳び出してくる。

「!!??」
にゃーん
「!?っは、猫…!?」

それに驚いて高尾に飛びつく名前に高尾も同じく大きく肩を揺らす。けれどその鳴き声にっはとして足下を見るとそこにいたのはどこにでも居るような野良猫でっほと胸をなで下ろす。

「なんだ、猫か。」
「っび、び、びっくりした…!!!」

胸を押さえて口をパクパクと動かして猫を見つめる名前に高尾は餌でも強請ってるのか人懐っこく甘える猫を抱上げる。

「ほら、苗字ちゃん。にゃーん」
「…わはは、にゃーん」

切り替えの早い高尾に名前は呆れたように高尾を見る。けど笑う高尾につられて名前もわははと笑って、高尾の鳴き声に答えるように鳴き声を上げて、高尾の差し出す猫の前足を掴んでクイクイと動かす。


「そういや、今日はなんかよく猫見てる気がするわー」
「なんでー?」
「そりゃぁ、今日の真ちゃんのラッキーアイテムが猫だか、ら………」



ガサリ



死亡フラグですね。わかります。



back




人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -