今日も一日疲れたわ〜と特にすることもなくなりボンヤリと寝転がって携帯をさわっていると窓がコンコンと叩かれる。それに特に驚くこともなくッシャと、カーテンをひく
そこには予想通りの人物がいたので鍵を開けて部屋へと招き入れる


「これ、一緒に見よ」


夜遅くに女の子の部屋にやって来るなんて何て奴だと文句を言おうとしたが手に持っていたDVDが前々から気になっていたホラー映画だったので黙ってDVDを見る準備をする。その間兵助はというと一度私の家のベランダを伝って自分の部屋へと戻る。すぐに戻ってきたと思うとその手には私が何年か前にノリで誕生日にプレゼントしたはんなり豆腐のぬいぐるみがあり。こいつビビってやがんなとニヤリと笑う

私はこの手のホラーは好きだが特に怖くない人間なので隣にベタリとくっついてきた兵助に安心感を得ることもなく、むしろうっとおしいと感じるくらいだ。まぁでも隣でビビっている兵助を見るのも嫌いじゃないので構わないのだけれど。
ディスクの読み込みが終わり映画が始まった



映画の途中、隣でビクビクとぬいぐるみを抱えながら震えている兵助の気配を感じながらこの映画のクオリティの高さに感心する。元からこの監督のつくるホラー作品のクオリティの高さは有名だったが今回のものは今までで一番だと思う。

そうやって映画を楽しんでくるとホラー場面が一息ついたところで隣の兵助がガシリと腕を掴んでくる


「う、後ろ!名前後ろ…!」


兵助がよくわからないことを言ってきたが伊達に付き合いは長くないので言いたいことを理解した瞬間。映画を見逃さないようにとすぐに背もたれにしていたベットに座り足の間に兵助の身体がくるようにし、さらにその上から兵助ごと布団を身体にまく

私よりも一回り近く大きな兵助の首に後ろから腕をまわして頭に顎を載せて映画を見る
こうしてるとなんとなく昔のことを思い出す。兵助は元より私と同じであまりホラーを怖がらない人間だった
それを変えたのが何を隠そうこの私である。

私もだが、作り物は特に怖がらなかった兵助は幼い頃、作り物かそうなのかわからないようなリアルなものがでてくる作品に対してだけは怖がっていた。そんなシーンを幼い私はひたすら繰り返し再生したそうだ。そしてそれをじっくり見つめて「兵助!これ本物だ!」と叫んで兵助をビビらしたそうだ。今思えばビビっている兵助を見て楽しんでいたんだろう。
そして他にも色々と夜中墓場で兵助を置き去りにしたり夜の学校で1人肝試しをさせたりを繰り返した結果兵助はこうして怖がりとなったのだ。学校の友達には必死で隠しているようだが時たま家に帰ると私の布団ではんなり豆腐を抱きしめて丸まっている兵助がいる。
そういう時奴はたいてい「お前のせいでこんなんになっているから責任とれよ。」的な事を言って少しめんどくさくなる。

まぁ、今ではクオリティの高いものくらいにしか怯えなくなってしまったからそういう兵助は中々レアだ。

そして最近気づいたんだけど、兵助は無理に隠そうとしているが尾浜とか気付いてんじゃないかって思うことがある…
きっとこの映画も兵助が買うわけもないし尾浜とかそこらへんの奴の物じゃないだろうか。
試しに明日鉢屋あたりに聞いてみるか




back




人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -