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重弥さんたちのうっすい気配を発見して木から飛び降りる


『っ重弥さん!』


ボフンとそのままたくましい胸板に飛びつく
それに僅かに驚いたようだが胸に擦り寄る私の頭を撫でてどうした?と問うてくる。


『婆娑羅でた!!』
「っえ!そうなの名前ちゃん!?」


重弥さんの横にいるサブの顔が驚きに染まる

それにッニと笑って返して重弥さんの身体から飛び降りる。


『ッフッフッフ!名前ちゃんってばやれば出来る子なのよ三郎くん!』
「見せて見せて!」
『ちょっと、待てね!』


ワクワクした表情で私を見るサブとその後ろからこちらを薄く微笑みながら見つめる重弥さんと佐和さんの視線にドキドキしながら両手をカメハメ波ポーズにしてふと動きを止める。
待って、これ私皆んなの前でカメハメ波やらなきゃいけないの?いや、それはちょっと…


『っん、んー…』
「どうした?」
『んー』


しばらく考えて、カメハメ波じゃなくてもさっきの感覚のままやればいいよね。とカメハメ波のポーズをやめて両手を前に突き出す。
自分の中の力を腕へと流して手で噴き出すイメージ。
頭で何度もそのイメージを繰り返して自分の中にある力を強く意識する。


『んんッ!オラッ』


身体の中の力を腕へ、そして外へと噴き出させる。
力んだ掛け声とともにさっきよりも簡単に手の間からホワンと何かが出てくる。
閉じていた目を開いて見てみると黒いような紫のような球体がホワホワと浮いていた。


『え、なにこれ…』


なんか思ってたのと違う!!
モヤのようなそれは、ふわふわと私の手の間を漂ったと思ったら重力にしたがって徐々に地面へ落ちていき最後には、地面にあたり煙のように消えてしまった。


「いっがぁい!名前ちゃん闇の婆娑羅なんだ!」
「意外と名前はずる賢いとこがあるからね…」
「いや、名前は天真爛漫な素直でいい子だ」


うんうん。と頷く佐和さんと若干親バカを発揮してる重弥さんを微妙な気持ちで見ながら、サブの言葉でなるほどさっきのは闇の婆娑羅かと納得する。
なんかホワホワしてるものだと思っていたから光の婆娑羅だと思った。なんか私の婆娑羅だけ腐ってるのかと思った。


『ドヤァ』
「すごいすごい!でも掛け声のオラッはない」


何か余計なことを言ってるサブの言葉には聞こえないふりをしつつ、胸を張ってふふんっと鼻をならす。
これで今よりももっと重弥さんたちの役に立つよね!!


「ところで闇の婆娑羅って初めて見たけどどうやって戦うの?何かホワホワしてて攻撃力なさそうだったけど…」


た、確かに…





役に立てない可能性


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