薄暗い店内でお目当ての人物を探す
女の客なんていないから
不審な目で見られているのだろう
視線が痛い

『サッチ隊長』

リーゼントの男が振り向く
隣にはナイスバディなお姉さん達がいて
これでもかっていうぐらいくっつている

その光景に苛立ちながらも
表情には出さない

「お?アラタかどうした?」

鼻の下をだらしくのばし
お酒で赤くなった顔で振り向く

『飲みすぎです。帰りましょう。』

「いいじゃねぇか!たまの陸だろ?!」

「そぅよぉー!あたし達と楽しんでるの。
帰ったらぁ?」

挑発的な目。
これだからこんな場所は好きじゃない。

『・・・帰りましょう』

「アラタ〜もうちょっとだけいいじゃねぇか」

『・・・』

うるさい女達とサッチ隊長をに
背を向け出口から外へ出た

しばらく歩いていると肩を掴まれた

『・・・なに。サッチ』
ぐいっと引っ張られ
サッチの腕の中で
強く強く抱きしめられる

「お前の嫉妬してる顔がたまんねぇ」

このリーゼント糞野郎と私は恋人同士だ
そして同じ隊の上司と部下でもある

『顔に出してない』

「いつもは表情豊かなのに
あん時だけは無表情なんだよ」

あー可愛いと抱きしめてくる
サッチは悪趣味だ
私が嫉妬するのを知っていて
迎えに来いと言う。

『悪趣味。リーゼント糞野郎』

「あーアラタ大好きだ」

『大嫌い。馬鹿』

言葉とは裏腹に抱きしめ返せば
抱きかかえられ
船へと戻る

「寝かせねーぞ」

ベットの上でなら
大好きだと伝えてあげる

そう言って
キスをした


悪趣味な彼


それでも好きなのだけれど


悪趣味な彼
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