マルコ×遊女2

今日で5日目の夜が終わる
いつもは何人かの客と食事をして
気に入った羽振りの良い客と夜を過ごすのが常だ

でもマルコはほかの客をとらぬようにと
わっちを買ってくれる
そのお金は決して安くはない
一人の人だけを相手に5日も過ごすのは初めてで
なんだか不思議な感じだ

情事が終わり布団の中で微睡む
鍛えられた腕に枕をしてもらい寄り添いながら
マルコの胸に彫られている刺青に触れる
これはマルコのいる白ひげ海賊団の刺青らしい
これを触るの好きだ

「明日の夜この島を出るよい。
だからここに来るのは明日で最後だねい。」

頭の上から声がする
いずれはこの島から出ていくのは
わかっていたけれどやはり胸が苦しい
これは、この気持ちはなんなのか
会ったばかりの男なのに

「そう、なんでありんすね 。
明日は忘れらりんせん 最高の日にしてあげんす 。」

ニコリと微笑めば
一瞬、何かいいたそうに眉を顰めた気がしたがすぐに
楽しみだよいとキスをくれた

朝の見送りを終え自室に戻ると楼主が既にいた
それを鬱陶しいと思いながらも
機嫌を損ねまいと寄り添うが
キスをしようと顔を近づけてきたのを
やんわりと顔を背ける

この5日間は手を出してこなかったのは
マルコが上客だからだろう

「どうかしんした ?
部屋にいるなんてどなたかに見られたら困りんす 。」

今までに見たことがないほど険しい顔で睨まれる
少し怖くなったが笑顔を崩さずにいると

グッと手を引かれ押し倒された
上に馬乗りになられ重みで逃げることもできない

「アラタ、あの海賊に惚れたのか?」

地を這うような低い声だった

「何を、言ってるでありんすか?
お客に惚れるなんて花魁失格でありんす。
そんな馬鹿なことわっちが・・・」

バシッと耳元で音がした
何が起こったのか分からずにいると
じんじんと頬が痛みだし叩かれたとわかる

「惚れたんだろ?!
同じ客を連日とるなんてしなかったじゃないか!
断れる立場であるお前が受けるってことは
そういうことだろう?!」

この店で格の高いわっちは確かに
気に入らない客は相手をしないと断わることもできる
それをしなかったのはやはりマルコが気に入っていたからだ
でも、それを今言うのは危険なのはわかる

「上客でありんすよ?
お店のために、楼主さまのために相手をしただけで・・・」

楼主の手がじわじわと首を絞める

「嘘をつけ!
あの男がお前を身請けしたいと3日目に言ってきた。
俺を捨てて出ていく気だろう!」

初めて聞いた話に驚いたが
首を締めていく力が強くなり声を出せなかった

わっちの人生もここで終わる

最後にマルコと過ごせた5日間は
今までの中で1番平穏でそして情熱的に相手を求めた
最初で最後の人

意識が朦朧としてきて目を閉じようとした時

部屋の襖が開いた音がして
体にかかっていた重みが消えた

急激に酸素が入ってきたのが苦しくて咳き込む

体の上にいた楼主は部屋にある箪笥に
体を打ち付けたようで呻いてた

「テメェ、何してんだよい!!!!」

「マ、ルコ?」

ついさっき見送ったはずのマルコが目の前にいる
わっちの前に立ちこちらからは顔が見えないが
楼主を睨みつけている

「う、ぐ、げほっ」

投げ飛ばされたせいで声も出せずに
蹲る楼主に鞄を投げつけた

「アラタは連れていく。
言われた金額の倍は入ってるからよい。」


まだ咳き込んでいるわっちの身体を抱き上げ外へと出ていく
何十年かぶりに店を出る
朝焼けの空は窓から見るよりも綺麗だった
黙ったまま船が沢山停泊している海へとくる


「アラタ、大丈夫かい?」

「大丈夫でありんすぇ。
あのお金はどうしたんでありんすか?」

「あれは、お前の身請け金だよい。
聞いてないかのかよい?」

そう言えば三日目に、と楼主が言っていた気がする

「あまり詳しくは知りは聞いていんせん。」

「やっぱりねい・・・。
筋を通して楼主に言ったが
アラタがいい返事を返してないと言っていたよい。」

「初めて聞いたでありんす・・・」

楼主が話さなかった理由は充分にわかる
わっちを手元に置いておきたかったんだろう

「お前をおれのモノにして
船に連れていこうと思ってたよい。
親父の承諾も得ているが・・・
お前の返事を聞かないまま連れてきちまった。
だから、このままアラタの好きにしたらいいと思ってるよい。」

「え・・・?」

「ここで返事が欲しい。
おれと船に乗ってほしいよい。
それが無理ならこのまま好きに生きろ。
あの店には戻れないだろい。」

この人は強引なのに
わっちの意見を聞こうとしてくれている

「船に乗れば大変な事もあると思うが
おれが命を懸けて守るから安心してほしいよい」

「ついて行きんす 。」

「え・・・?」

「わっちは貴方について行きんす 。」

「本当か・・・?」

「さっき死を覚悟した時に
思い浮かんだのはマルコ、貴方の顔でありんすぇ。
会ったばかりけれど 、わっちはマルコが好きでありんすぇ。
わっちの残りの人生はマルコに捧げんす 。」

目を見てゆっくりと喋る
話し終えた瞬間に体が持ち上げられ
何度もキスをする

「アラタ!!!
おれはお前を絶対に幸せするよい!!」

「はい。お願いしんす 。」


遊女のわっちはさっき死んだ
大変な事もあるだろうが
これからはマルコと生きていくと決めた


END

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