朝っぱらからドアと激しくノックされ
頭をかきながらドアを開けると
サッチがどこか愉しそうに立っていた

「おい、アラタちゃんと別れたってまじかよ?
モビーじゃその話題で持ちきりだぞ?」

「何言ってんだよい。
アラタなら昨日も一緒に寝て・・・
っていないねい」

ベッド振り返るとそこに恋人であるはずの
アラタの姿がない

「あんだけ誰にもなびかなかったアラタちゃんが
マルコと付き合うだなんておかしいと思ったぜ。
それでも2年だろ?
お前みたいな堅物とよく続いたな!」

ケラケラと笑うサッチの頭を思い切り叩く

「おい、別れてねェよい」

「痛てェな!!
アラタちゃんが別れたって言ってたぞ?」

「はぁ?」

「好きって言ってくれなきゃ
別れるって言ったのに
言わないから別れる事になったって」


その言葉で昨晩の事を思い出す

『ねぇ、マルコ・・・あたしの事好き?
好きって付き合った時しか聞いてない』

『そんなホイホイ言うもんでもねェだろい』

『聞きたい』

『今度な。それよりもう寝るよい。
ヨシヨシしてやるからこいよい』

『やだ。今!今聞きたい!!!』

暴れるアラタを無理矢理ベッドに
引きずりこんで押し倒した

『ん、好きって言わないなら、
あっァっ、別れるっっんんっ』

『こんなに感じてるクセに何言ってんだよい』

そのまま散々鳴かして
2人で寝ちまった気がするが
明け方にでも部屋を出たのだろう

「アラタちゃんは毎日毎日
マルコに好き好き言ってたし
上手くいってると思ってたけど
わかんねェもんだな」

まだニヤニヤしているサッチを睨む

「・・・アラタはどこだよい」

「部屋じゃねェの?
早く行かねェと他の奴にもってかれるぞ?
男に興味がないと思ってたアラタちゃんが
男と付き合うってわかったんだしな。
傷心につけ込んでやろうって思ってる奴は
いっぱいいるぜ?」

「チッ」


シャツを掴みアラタの部屋へと走る

アラタの部屋の前には誰にもいないが
中からは話し声が聞こえた

「アラタ〜泣くなよ!
好きってオレが毎日言ってやるから!!な?」

「やだっ、エースの好きは軽いっ!」

「うわ、ひでェっ!!」

苛立ちでノックもせずに勢いよく
ドア開けるとベッドに
アラタとエースが腰掛け
アラタの頭の上には
エースの手があった

「エース、何してんだよい」

「え、いやっ、オレ別に」

サッと手を頭からどかし立ち上がる
これはまずいというような顔をしている

「出てけよい」

「お、おう!あとは頼んだ!!」

足早にエースが出て行った後
ベッドに腰掛ける
部屋はアラタの鼻をすする音だけが聞こえる

「エースと何してんだよい」

「元彼のマルコには関係ない」

プイっと横を向けるアラタの顔を
無理矢理こちらに向かせる

「別れてないよい」

「好きって言わないと
別れるって言ったのに言わないし
だからあたしとは別れてもいいって思ったでしょ!」

そう言うアラタの瞳には涙が溜まり
今にもこぼれ落ちそうだ

(自分から言い出したくせに
泣いてんじゃどうしようもねェよい)


「あたしは、毎日好きって
伝え、てるのにっ」

そう言い切る頃には
瞳から涙が溢れ頬をつたう

泣かしたいわけじゃないし
別れたいわけでもない

「オレはお前が好きで好きで
仕方ねェよい!!!」

照れくささを隠すように
アラタに口付ける

何度も角度を変えてキスをする

唇を離すとアラタは泣きながら笑う

「マルコの馬鹿。好きだよ」

泣くアラタを横抱きにして
頭を撫でると落ち着いたようで涙は止まった

「噂を訂正しないといけないねい」

「え?なんの?」

「なんなって、
お前とオレが別れたっていう噂だよい」

「そんな噂あるの?
あたしサッチとエースにしか言ってないのに」

「...サッチのヤツはめやがったな。
あ、エースに好きって言うとか
言ってたのはなんだよい」

「あーあれ?なんかマルコが
好きって言ってくれないって泣いてたら
慰めてくれてただけ。」

「・・・そうかよい」

ふふふと笑いながら
アラタが頬にキスをしてくる

「たまには喧嘩もするもんだね。
好きって言ってくれたし
妬いてくれた所も見れた。
たまには喧嘩しようね。」

「馬鹿な事言うじゃねェよい」


end

不器用な彼氏(マルコ)
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