鍛錬を終えて食堂へ向かう途中
聞こえてくるのは女の甘えた声

「マルコ隊長あの子誰とでも
ヤるようなコよ?
やめときなよー!
船の中に穴兄弟がいるの嫌じゃない?」

曲がり角にあたしがいるとも思わないで
マルコにあることない事を吹き込む
穴兄弟?それはお前の事だろうと溜息がでる
そして

「そうかい」

と否定をしないマルコにも苛立ちが募る
誰にでも優しいのはいいが
ここら彼女の肩を持つべきだ
あたしが処女だったのは
マルコが1番知っているはずなのに

2人が曲がってきたと同時に
壁を拳で殴る
ボコッと素手が壁にのめり込む

「きゃぁっ!」

「あんたもマルコもムカつくわ」

じろりとナースを睨めば
ひっと小さく悲鳴を上げる
本人を目の前にしたら
縮こまるくせに
いないと平気で悪口を言う女の特性が
嫌いで仕方がない
海賊はそんな女のいざこざなどないと思ったし
自由に生きることに憧れ海賊になった

ただ入った場所が悪かった
親父のことは崇拝している
傘下の海賊になれば良かったのに
欲を出してモビー・ディックに乗ってしまった

親父の側にはナースがいて
モデル級の美女たちが
自分が目立ちたいと女達が自分を磨く

わくわくして入ってきたあたしは
目をつけられ陰湿に嫌がらせをされる

そしてマルコと付き合ってしまったものだから
余計に目の敵にされたのだ

マルコを見るとニヤニヤとしている
あたしが怒るといつも余裕の笑みを浮かべている

ブチっと何かが頭の中できれた

「本当に兄弟つくる!!!!!」

その発言で初めてマルコの顔から笑みが消えた

その目から逃げるように
背を向け走り出す

後ろからは
ナースが怖がってマルコにすがり付く声と
ほらねと煽る声が聞こえた


バンっと扉を開ける
ビックリした顔の
イゾウがこちらを見ていた

「イゾウ隊長
抱いてください!!」

着ているTシャツを脱ぎ捨て
イゾウ隊長の着物を脱がしにかかる

「ちょっ、お前待て!
道場破りみたいな感じで
抱いてくださいってなんだ!」

「マルコがムカつくんです!!!
だから!抱いてくださいっ!」

額に手を当てハァーと
深い溜息をつく

「お前らの喧嘩にオレを
巻き込むんじゃねェよ!」

額を指で弾かれる

「いっ・・・たいっ!!」

ただのデコピンのくせに
破壊力は抜群だ

「お前がナースに言われてる事を
信じてる奴なんかいねェよ」

「ううっ」

まだ痛い額を抑え涙を浮かべる

「いつまでも喧嘩してねェで
さっさと仲直りしてこい
マルコの機嫌が悪くなっちゃ
こちとら迷惑なんだよ」

脱ぎ捨てたシャツを投げて
渡され着ると背中を押され
扉の外へと追い出された

「あっ!イゾウ隊長!!!」

扉をドンドン叩くが
出てくる気配はなかった

くそうと呟くと
ピタリと首に手が触れられる

びくりとして振り返ると
マルコが笑みを浮かべている

「その感じだと未遂だねい」

あんなコト言っておいて
何もない自分が恥ずかしくなる

「人選ミス。
サッチなら絶対抱いてくれた」

「それはないねい」

「っ、なに、あたしが
魅力ないってこと?!」

後頭部をガッチリと掴まれ
唇が触れ合うと舌で口内を犯される

「んぅっはぁっ・・・や、っ」

やっと解放されると耳元で囁かれる

「今度、逃げようなんてしてみろよい
一生部屋から出してやらないよい」

「はっ?!え、」

何か恐ろしい事を言われた気がする
考える暇もなく荷物のように
肩に担がれる

「お前に手を出す奴なんざいねェよい!
オレがどんだけ溺愛してるか
皆知ってるからねい
手を出した奴はオレに殺されるよい」

「ちょ、っと!離して、降ろして!
ナースの味方したくせに!」

ジタバタしてもびくともしない

「離さねェよい!
オレはアラタ以外の女の味方なんかしねェ!
お前の肩持ったら余計に嫌がらせされるだろい。
それにいまからお前は一生オレから
逃げられないように
躾なきゃいけないからねい」

一瞬ぽかんと口を開けて止まってしまう
あのマルコの対応はちゃんとあたしの事を
考えてくれていたのか
真相がわかるとほっとしたが
ニヤリと笑うその顔は
今夜は離してくれない事を暗示させた


いやぁぁと悲鳴と共に
バタンと1番隊隊長マルコの私室の扉が閉まった

この手から逃がさない
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