2015年11月
2016/01/04 23:44
月の蛍光灯×及川
…遅いな。
そう思ってスマホを見れば、まだ待ち合わせの時間になっていなかった。
なんだ、まだ時間じゃないのか…。
そう思って顔を上げれば、知らない女の子達が近付いてきた。
「あの…青城の及川さんですよね?」
女の子に聞かれ、外向けの笑顔を向ける。
「うん、そうだよ。」
「え!あの…!お暇なんですか?
もしよかったら私達と……!」
駅の方を見ると、俺に気づいて走ってくる人影。
別に走らなくてもいいのに、そう思って笑う。
「ごめん。
今日はこれから用事があるからまた今度ね。」
そう言うと、女の子達は手を振ってどこかに行った。
「ごめん及川!待った?」
学校の雰囲気とは違う彼女に、少し嬉しくなる。
「ううん。今来たところだよ。」
俺は左手を、差し出せなかった。
−−−−−−−−−−
「ねえ、これなんかどうかな?」
「……いいんじゃない。」
「じゃあこっちとこっちどっちがいい?」
「……じゃあこっち。」
「ちゃんと選んでよ、及川。」
俺のことを買い物に誘ってくれたと喜んでいれば、買い物の内容は「二口へのプレゼント選び」だった。
「…なんで俺を誘ったの。」
「二口と身長同じくらいだから。」
さっきから見てるの帽子とかマフラーだから関係ないじゃん…。
「あと花巻誘ったら今日は用事あるって言うから。」
俺はマッキーの代わりか…。
「あ、及川!
こんどはこれつけてみて!」
少し背伸びして、俺の首にマフラーを巻く。
…このレアな姿見られたし、まあいいか。
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