3 | ナノ








「あ、そいえば、アンタ今日こそちゃんと学校行きなさいよ。」






いつもと同じようにナミと電車に乗って、いつもと同じように通勤ラッシュで人で溢れ返っている車内で何とかナミに安全圏を確保してやっていた時のこと。

思い出したようにナミが口を開いた。









「誰から聞いた?」
「ローさん。」
「、、あの変態野郎」
「何の為に毎日この時間に電車乗ってるのよ、学校行く為でしょ、普通は。」
「ナミの居ないところなんてつまんねェ」
「はいはい、わがまま言わないの」







機械越しに駅員のアナウンスが流れる。


ナミがいつも降りる駅、いつも通りにナミが降りる。



「じゃあ、行ってきます」
「あぁ、気をつけろよ」





揺れるオレンジ色は、すぐに人に埋もれて見えなくなる。

途端、息苦しくなる車内。
何の為に俺は、こんな人込みの中にいる?さっきまで気にもならなかったのに。



息苦しさに数分耐えて、自身の高校へと一番近い駅で降りる。


このまま学校に行こうか数秒迷って、やはり面倒臭くなって近くのコンビニで立ち読みでもしようかと思い至った。












「いらっしゃいませー」

不自然に作ったような高い声が煩わしい。



携帯を開く。表示される8時23分。
ナミはきっと、学校に着いた頃だろう。


適当に雑誌を読んで、フラフラと店内を回る。新発売と書かれたみかんジュースを持ってレジへと並んだ。





(家の冷蔵庫に入れといてやろう、)





携帯に表示される8時47分。また今日も遅刻確定。



ふと、電車内でのナミの言葉が思い出される。





電話帳からお目当ての名前を探して、きっとまだ家に居るであろうアイツに電話を掛けた。





3コール目で、電話越しに低い声。


「おはようダーリン「黙れ。」



第一声に吐き気がした。





「ロー、お前いつの間にナミと仲良くなってんだよ」
「何だバレたか、そういうことだ、これから宜しくな“義兄さ「いっぺん死ね。」








通話終了、表示される8時53分。


今日はもう家へ帰ろう。






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