すべて含めて | ナノ




二人幸せになれる方法を。











僕ら二人で考えよう。




















【すべて含めて】

















「お前、本気で言ってんのか」


「何回も言ってるじゃない、本気よ」


「おれは認めねぇぞ。」


「あんたが認めなくても私は決めたの。別れた方がいいわ、私達 」













おれ達は“海賊”で。

ましてやおれとナミは一船の“船長”と“航海士”だから。


だから別れようと、ナミは言った。






許される許されないはおれ達が決めることで、現におれ達の関係は今まで誰に否定されることも無く許されてきた。

ナミはそれを『甘え』だと言う。







「何でいきなりそんなこと言うんだ。意味わかんねぇぞ、お前」


「分かるでしょ?ルフィの為なのよ、」






もっともらしい顔をして、ナミは『おれの為』だと言う。
「何で分かってくれないの」とでも言いたげな顔で見つめられようが、そんなこと分かりたくもないし知る気もない。


ふざけたことを言う女だと、これほどナミに不信感を抱いたこのは、後にも先にも、きっとこの一度だけ。









「“おれの為”って、何言ってんだ?」


「言葉の通りよ。私はルフィをダメにする。私じゃあんたを幸せにできないわ」


「だから“別れよう”なんて言うのかお前は」


「十分すぎる理由でしょう?」


おれの“不機嫌”は自分でも自覚できるほど顔に出ていて。
それに比べてナミの表情からは何も読み取れなくて。







ダメになるとか幸せになれないとか。ナミの言ってる意味がよく分からない。



ナミがいなきゃダメだとか、ナミがいるから幸せだとか。
そんなことは口にしたことは無いけれど。


だからと言って、ここまでナミに伝わっていないとは、まさか誰が思いつく?










「お前何も分かってねぇのな。」

「?」


「“おれの為”って言うくせに、おれが望んでることは何一つ叶えようとしねぇ」









“おれの為”を考えてくれるなら、ただ隣で笑っていてくれるだけでいいと、何でそんなことも分からない?


その笑顔を守る為に強くなると、何度誓ったか、何度思わされたか。






別れようとかダメになるとか、そんな言葉よりも聞きたい言葉は山のようにあると言うのに。








「ナミは、逃げてんだろ」


『逃げんな』その想いを指の先から君に届け。

ナミの手首をそっと握って、真っ直ぐと視線を合わせた。






「おれは死なねぇし、皆のことも死なせねぇ。もっと強くなるし、海賊王にだってなる。」






触れた指先から、トクン、トクン、とナミの呼吸が聞こえる。

ちゃんと生きて、二本の足で立って。考えることだって出来るのだ、おれ達は。









「“おれの為”とか言って、ナミは本当は傷付くのが怖いだけだ。だから“別れよう”なんて、おれが認める訳ねぇだろ」




ヒトにはいつか、必ず終わりがやってくる。
その“終わり”が怖いと、ナミは泣いた。





「考えると怖いの。怖くて怖くて、どうにかなりそう。好きすぎて怖い、これ以上好きになったら、どうしたらいいか分かんない」





トクントクントクン、
触れる指先から直に伝わるナミの想い。





「おれはナミに、もっとおれのこと好きになってほしい。勝手に限界作るなよ、好きって気持ちに限界なんて無ぇだろ」







だってナミが好きだから。
もっともっと、おれのことを好きになってほしい。そう願うのは、愚かなことか。




それでもナミは、ふふっと笑った。
「ルフィらしいわ。」と。






「おれはナミから“別れよう”なんて台詞聞きたくねぇ。もっと他にあるだろ」


「うん、ごめんねルフィ。ありがとう」


「“ごめん”もいらねぇ」


「ふふっ、ありがとう」























▽オマケ








「“別れよう”はツラかったぞお前!もう二度と言うなよ!」


「ごめんってば、もう言わないから」



「そんなに信用ないとは思わなかった!お前、おれがどんだけナミのこと好きか全然知らねぇんだろー」



「ちゃんと伝わったってば!ありがとう!」



「ならいいけどよー」






「ったく、」


ちゅっ









「あんたこそ覚悟しなさいよね!私だって馬鹿みたいにあんたのこと大好きなんだから!」


「‥え、ちょ、ナミ!もっかい!」










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