そりゃ無いぜ | ナノ







魔女と魔獣、











強いのは、どっち?



















【そりゃ無いぜ】


















みかん畑にいる時も、キッチンで日誌を書いている時も、終いには甲板で潮の流れを見ている時も、

いついかなる時も。


航海士は異様なまでのアツい視線を感じていた。













「何なのアンタ」

「あ?」

「喧嘩でも売ってるの?」







『恋焦がれる相手を見つめたい』とか、『自然と目で追っちゃうの』などの可愛らしい視線なら、見つめられる方も悪い気はしないのだろうけど。




よりによってゾロの、“魔獣”の。

『ヒト一人くらい簡単に殺められますよ』とでも言いたげな(もはや完璧に睨まれている。これじゃあ“監視”の域に達してる)視線で一日中見つめられたとあっちゃあ、


『正直、笑えない。』というのがナミの言い分で。









「あぁ?何いきなり訳の分からねェこと言ってんだ」

「訳わかんないのはこっちよ!一日中遠慮無しに人のこと睨みつけて!!“魔獣”にガン飛ばされるこっちの身にもなってみなさいよ!おかげで最近チョッパーとウソップが私の半径2メートル以内に入って来ないんだけど?!」



「どうしてくれんのよ!」




ドカっ!と言う音と共に、ナミが殴ったであろう壁からシュ〜と情けない煙が上がっている。

水平線の彼方まで届いたであろう大きな声は、各自自由に過ごしていたはずのクルーをわらわらと問題の現場へと集合させた。





「ちょ、落ち着けナミ、」



トータルパウンティ6億超え。一味の船長は3億の首。そんな一味の、航海士であり“裏船長”。




最強最悪にして、最も愛されている彼女を、誰が止められると言うのだろう。






「落ち着ける訳ないでしょう?!何で私が疎外感を感じなくちゃいけないの?!よりによってあの“鹿”と“鼻”から!!!こんな屈辱ある?無いわよねぇ?」



「あ、ハイ‥」



「何が原因で私にガン飛ばしてたのか知らないけどねぇ、私は今!あんた以上に!!イ・ラ・イ・ラ・してるの!分かる?!」

「、ガン飛ばしてた訳じゃね「言い訳無用!!!」

「あ、ハイ」






何故怒られなければいけないのか。目つきの悪さは生まれ付きだと言うのに。

好きな女を目で追って、それが原因で怒鳴られているなんて。




思わずゾロから溜め息がこぼれ落ちる。

それを彼女が許すはずもなく。




「ちゃんと聞いてんの!?」

「ハイ、スイマセン」























しっかり十メートル。とばっちりを受けない程度の距離と安全を確保して。

二人を見つめる七つの影。




「ゾロが正座してるぞ!やっぱりナミはすげェな!しししっ」


「鈍感なナミさんも素敵だぁぁああぁあv」


「おいおい、ゾロ、あまりにも可哀相すぎやしねェか?」


「好きな子を目で追ってしまうなんて、剣士さんも可愛いとこあるじゃない」


「ゾロの視線ほんっとーに怖かったんだぞ!おれ、ナミに近付けなかった!」


「ヨホホホー♪お熱いですねェ」


「馬鹿!泣いてねぇよ!ゾロが不憫すぎて俄かに同情はしたが!ばかっ!泣いてねぇよ!!」











魔女と魔獣、どっちが強い?





そんなの聞くまでもなく、答えは決まっているのです。








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