そんな日常 | ナノ
こんなことが幸せだなんて









私も相当どうかしてるわ。










【そんな日常】








基本的に、私に自由な時間なんて無いように思える。





ゆっくり読書や、一人でのんびりミカンの手入れ、パラソルの下で優雅にお昼寝。

したいことはいつだって沢山あるのに、毎回必ず邪魔が入るから。




それは今日も例外ではなくて。












今日の午後は、サンジくんに美味しいデザートを作ってもらってそのままキッチンで楽しい楽しいティータイム。

うん、今日はそんな気分。





ナミさんの頼みならと終始デレデレしながらも作ってくれたケーキは予想以上に美味しくて大満足、よし、今日こそ私の計画通りの優雅な午後を過ごせるわvなんて安心したのもつかの間。

外から聞こえる私を呼ぶ声。











やっぱりね。




あいつは、いつも陰から私を見張ってるんじゃないかっていう絶妙なタイミングで邪魔をする。





最初は無視を決め込んでいても、止む様子の無いルフィからの呼び出し。

「あんのクソゴム〜!俺とナミさんの素敵な午後の一時を邪魔しやがって!」なんて言ってるあたり、サンジくんも無視しきれなかったみたい。





ったく、そんなに呼ぶならあんたが来なさいよなんて文句と共に大きな溜め息をつきながらもルフィの元へ向かってあげる私はなんて優しいんだろうか。





「あ、ナミ!遅かったな!おれいっぱいナミのこと呼んだんだぞ!」


「聞こえてたわよ、何度も何度も。そんなに呼ぶならあんたが来なさいよ」


「しししっ、ナミが呼んだらちゃんと来てくれるの知ってんだ、おれは」



しまった、やられた。


なんだか私が負けたみたいじゃない。

結局はルフィの言いなりになってるみたいで、なんかちょっと、悔しい。


「ルフィのくせに、生意気」

「痛ぇな〜、なんでつねるんだよ〜」

「ふふっ」

「?」



怒ってると思ったら笑い出した私を見て、ルフィは訳が分からないといった顔。


だってなんか、


ルフィの言いなりになった自分は悔しいのに、



それなのに私が姿を見せた時の笑顔とか、私が来るまで名前を呼び続けてくれたこととか。




なんか、


ちょっと、嬉しかったみたい。








「ナミー、何で笑ってんだ?」

「そういうあんたこそ何でそんなに笑顔なのよ」


「おれか?んー、おれはナミが笑顔なのが嬉しいからだな!んん、間違いねぇ」




そう笑顔で告げるルフィにつられて笑顔になりながら。





あー、私って実は結構幸せ者かもしれないわ、なんて柄にも無いこと思ったりしちゃうのは。




「ししっ、おれナミの笑った顔が一番すきだっ」


目の前にいるこのゴム男が、素直過ぎるせい。

そうよ、全部、ルフィのせいなんだから。




「おいこらクソゴムーっ!俺の目の届く範囲でナミさんといちゃこくとは良い度胸じゃねぇか!!」


「ゲッ、サンジ!」




いきなり目の前に居たルフィが吹っ飛んだかと思ったら、犯人はやっぱりサンジくん。



後ろの方からロビンの「あら、今良いところだったのに、残念」なんて声が聞こえる。





「うっせぇなてめぇら!寝れねぇだろ!!」



それからやっぱりゾロが起きて、ゾロの近くの芝生甲板で遊んでいたウソップとチョッパーとブルックが身の危険を感じて避難。





それから皆の予想通り、サンジくんとゾロのくだらない言い争い。


「船壊さないようにねー」なんて注意はしてみたものの、10分後には頼れる変態船大工に怒られることになるだろう。





「いいぞー、サンジー!」
「いけー!ゾロー!」

なんて野次が聞こえ出したらもう止まらない。


いつもは私がとても効率的な方法で止めに入るけど。




今日は何だか気分が良いから。




うるさいくらいの船の上で、私やっぱり幸せだわ、なんて思ったのは







口に出さない、私だけの秘密







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