3 | ナノ









昼飯後、キッチンにいるのはおれとナミとサンジ。

サンジは片付けしてて、ナミは日誌を書いてる。

おれがこの場にいるのは、かなり珍しい。





「ナミー」


「なぁに?」


「ひまだー」

「いつもみたいにウソップ達と遊んだらいいじゃない。」

「ナミも一緒に遊ぶか?」

「ふふ、いやよー」





ナミが笑った。日誌を書いたまま。おれの方は見ないで。






「なあ、ナミぃー」


「何よ、しつこいわねー」



声には笑いが含まれている。






なあナミ、そのまま、




「おれの目見ろよ。」



「‥‥何言ってんのよ」




目が合った。
ナミはもう笑っていない。







「おいこらクソゴム。レディを困らせるんじゃねェ。ナミさんは今、日誌書いてる最中だろーが。‥ナミさん、紅茶をどうぞvV」



「ありがと、サンジ君」



「いえいえ〜Vv」




サンジの目を見てニッコリとお礼を言ったナミ。







おもしろくねェ。









バタンっ







その場に居たくなくてキッチンを出た。


足が向かったのはミカン畑。










ナミとのキスを得て、ナミの笑顔を失った場所。










「はぁーあ。」


思わず溜め息が出る。


「どうしたのよ、溜め息なんて、らしくないじゃない。」




「ナミ!?」


ここ一週間、おれと二人きりの状態を避けていたナミが、来てくれた。






こんくらいで情けないほど嬉しいおれは、やっぱりナミが大好きだ。









「ナミ‥、











笑えよ。」




おれの目を見て。





「?笑ってるじゃない。」



「おれの目を見ろ。」




「‥っ」




「何でおれの目見て笑えねェんだ?おれのこと嫌いになったのか?」


「‥‥‥。」





「何で‥っ何も言わねェんだ!」








嫌いになんて、ならせてたまるか。




「!?」































衝動に任せてキスをした。



「‥っ‥‥ル、フィ!‥ゃめ‥」








ナミの抵抗の声が聞こえる。


胸が痛ェ。













罪悪感に耐え切れなくなり唇を離した。








「何なのよ、あんた‥」



先に口を開いたのはナミ。
涙を流しながらおれを睨んでる。








「ごめん、ナミ‥」



泣かせたかった訳じゃねェ。











「ごめんって何!?謝るくらいなら最初からしないでよ!」



「ナミ‥、」



「大体ねぇ!"ちゅーくらい"って何よ!あんたにとっては些細なことでも私にしたら好きな人とのキスは大事なことなの!!」


「ナミ‥?」



「あんた言ったじゃない!一回目のキスの時!『ちゅーくらい別にいいだろ』って!あんたに好かれてるかもって期待した私が馬鹿だったわよ!!」



ナミ、お前何言ってんだ‥?






「私はあんたに!好きって言われたかったのに!!‥‥うっ‥ヒック‥」




馬鹿か、お前。


「泣くな。」









「‥‥ルフィ?」




おれはナミを優しく抱きしめた。






「馬鹿か、お前。」



「なっ!?ふざけないで!離してよ!」



バーカ、離す訳ねェだろ。
今から伝えるんだ。








腕の中で暴れるナミの耳元で、そっと囁く。




「好きだ。」

「!?」





「好きだ。大好きだ。」




「‥ほ、んと?」






「好きでもない奴にキスなんかするかっ!ナミだからしたんだ!」


「だって‥"キスくらい"って‥」



「あれはっ、ナミがあまりにも嫌がるから、おれだけがこんなにナミのこと想ってんのかって‥‥!」








「‥馬鹿ね。」



「何だと!?」




「大馬鹿って言ったのよ」







ちゅっ







気付くと目の前にはナミの顔。
触れるだけの短いキス。
初めての、ナミからのキス。









愛しさが込み上げてきて、ナミを抱く腕に力を込めた。





「泣かしてごめんな。」



「この罪はでかいわよ、30万ベリーねvV」






あ、ナミが‥



「笑ってる‥」



「え?」




「おれの目見て、笑ってる」





やべェ、嬉しい。











泣きそうだ。










潤んだ瞳をごまかすようにナミにキスをした。





ナミの細い腕がおれの首に回される。



それに応えるように腰と頭に回した手に力を込める。






もうナミに抵抗されることはない。














「ルフィ‥‥っ‥すき‥」

「おれも」









漏れる声は、抵抗の言葉ではなく甘い甘い愛の言葉。





ナミ‥








あー、







やっぱりおれ、













お前が大好きだ。






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