under the shining rain | ナノ
それは、よく晴れた日のこと。







【輝く雨の下で】




照りつける太陽。

穏やかな波。

見渡す限りの大海原。


泡の中で騒ぐ、クルー達。





始まりは暇を持て余した船長の一言だった。

めんどくせぇと眠りにつこうとするゾロを船長命令だ!と笑顔で叩き起こし、よし、そうと決まればいつもの作るかとウソップが鉄屑を探しに部屋に戻ったのをきっかけに、各自準備が始まった。



じゃあ皆の分集めとくかと何かと面倒見のいいサンジが男部屋に戻り、石鹸が必要ね、とナミが風呂場へ向かった頃には出来たぞー!というウソップの叫び声が聞こえる頃だった。





そうして始まった洗濯大会。


真面目に洗濯、なんてきっと最初の二分だけ。



「ぅおぃ!ゾロ!お前から今ビリって聞こえたぞ!!」

「気にすんな。この服の寿命だった、それだけだ」

「ふざけんなよ!その服は俺様と共に数々の冒険を乗り切っ「ししし!ゾロは馬鹿力だもんなー」

「おお、出たなクソマリモのセンス無し腹巻き」

「あぁ?てめぇ今何つった」

「ちょっとあんた達!泡が飛ぶのよ!暴れんじゃないわよ!」

「お前が一番泡飛ばしてんじゃねぇか‥」

「お、なんかそれらしくなってきたなー、しししっ」




調子に乗ったルフィがタライに飛び込み洗濯物の山に埋もれ、ホースからの水でルフィを狙うウソップ。

ウソップからのホース攻撃に対抗し泡と水にまみれた洗濯物を投げ始めるルフィにサンジが蹴りかかろうとしたが一面に広がる泡に足をとられ転倒、それを馬鹿にしたゾロと全身泡だらけにしたサンジの乱闘が始まり最後には二人仲良く足を滑らせタライに突っ込む始末。


見兼ねたナミが一人避難しようとするがルフィに見つかり失敗。ウソップ!ナミが逃げようとしてるぞ!と告げ口までされウソップのホース攻撃の餌食になる羽目に。


甲板はもはや、大惨事。



ちょっとあんたらふざけんじゃないわよと皆の輪に戻った時にはナミの身体はあるものを感じ取った。



「雨が、降るわ」



その一言に泡まみれのクルー達は一時休戦。


「皆、急いで片付けましょ!」

「ナミ、それは嵐か?」

「雨って言ってるでしょ、でもまあ、きっと天気雨ね。ほら、あんたも早くタライから出て!」

「クソゴム!お前がそこにいたらタライが片付「雨ならいいだろ、続きやろう!」

「は?」

「おれは皆で楽しいことがしたいんだ!今楽しかったじゃねぇか、嵐じゃねぇなら大丈夫だ、続きやろう!」


な!とルフィが皆に笑いかけたのと、雨が降って来たのはほぼ同時。



結局何一つ片付けもしないまま、強くなる雨に笑いが零れた。

まったく、うちの船長命令は困ったものだ、と。


「ま、外にいた方が泡も落ちるんじゃねぇか?」

「まったく、しょうがないわがまま船長ね」

「それは同感だぜナミさん、おまけに食欲の塊みたいなクソ野郎」

「それがルフィだな!くらえルフィ!ウソップ様の華麗なるホース捌き!!」

「んん、やったなウソップ!」

「ちょっと待てルフィ!ウソップはあっちだ!!」

「ちょっとルフィ!」

「クソゴム!てめぇナミさん付近に汚らわしいパンツなんか投げやがって!!」

「やっちゃってサンジくん!」

「わわ、ウソップに投げろって言われたんだ!本当だぞ!」

「サンジ待て!誤解だ!確かに俺様のホース捌きは繊細かつワイルドだが、でも!おい、ルフィ!!お前後で覚えてろよ!」

「しししっ!ウソップごめんなー」





やけになったウソップがホースを振り回し、突然伸びてきた腕にタライへと引きずりこまれたゾロとナミとサンジがルフィを殴りつけたと同時に大きく跳ねる水と泡と洗濯物。

どうやらウソップも飛び込んできたらしい。


顔に跳ねた泡を拭き、一瞬の静まりの後に零れる笑い声。



びしょ濡れになって雨の下、泡にまみれて、一つのタライに洗濯物と共に五人。

一体何をやっているのか。

「あはははっ!何やってんのよあたし達」

「まったくだ。」

「でも、まあ、こんな馬鹿も悪くねぇ」

「うわっはっはっ!笑いが止まらねぇなこりゃ!」

「しししっ!!」







笑い声は、絶えず、続く。






それは、太陽輝く雨の下






夢に向かって進む船は







何より大事な仲間を乗せて。







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