僕が僕を望むから | ナノ




荒い呼吸、くぐもった声。

シーツの白に、散る金色。












僕が僕を望むから












「ごめんね、修兵」


理性の働かない頭で、彼女は何度も呟いた。


それ以上は聞きたくなくて、深く口づけたのは無意識に近かったと思う。











何度絶頂に達しても、未だ彼女の脳裏に巣くう男。
全てを裏切って、捨てた男。

彼女の胸に愛情を与え、虚無感だけを残した男。










( どうせ消えんなら、もっと綺麗に消えてくれよ )






きっと今この瞬間も、俺に抱かれながら、頭の中は奴で一杯なんだろう。

それは俺にも言えること。








「乱菊さん、」

「、?」


「何も考えられないようにしてあげますよ」






ねちねちと、粘りを持った水音が室内に響く。

腰を打ち付け、彼女を絶頂へと導く。





「目、開けて、俺を見て下さい」

「んっ、ぁあ、」



「名前、呼んで下さい、沢山」

「 んっ‥‥、修、兵、?」





トロンとした目で見上げられて、極上の甘い声で名前を呼ばれて。


それなのに。



( 優越感に浸ることすら、させてもらえない。)







いくら名前を呼ばれても、いくら身体を繋いでも。



心だけが、手に入らない。







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