夢の中より腕の中 | ナノ





『インキュバス』って知ってるか?


─なあに?それ。





理想的な姿に化けて寝てる女を襲う。悪魔の子を妊娠させる、別名を『夢魔(ムマ)』とも言う。




─随分と質の悪い悪魔ね。










イイ女を狙うと聞いた。お前も精々気をつけるんだな。




─‥‥。




















夢の中より腕の中































ナミの温度を腕の中に感じて、さてどうしたものかとボーッとする頭で考える。


目を瞑っていてもわかる、強烈な視線。
その視線に不安の色が混ざっていることにも気付いているんだけど。





「‥寝ちゃった?」







起きてる、と心の中でだけ呟いて。

先程から、俺を起こそうと必死に名前を呼ぶナミがかわいくて、怒られるとわかっていても狸寝入りを続行する俺。







「ロー、起きてよ」


(起きてますよー、)


「ローってばぁ」




ペチペチと頬を叩かれ、ナミの声にも不安の色が混ざる。


流石に意地悪すぎたかと、返事の変わりにナミを抱く腕にぎゅっと力を込めた。






「ロー?起きてるの?」

「んー、」






かわいい、かわいい、ほんと、かわいい。

感情がそのまま出る声とか、俺の胸板に額を摺り寄せてくる仕草とか、蜜柑系の匂いとか。


普段強気な彼女の、こういった一面とか。


はっきり言って、たまらない。













「どうした?」


「・・、昼間の話あったじゃない?」






下心を宿した俺の手をピシリと叩いて話始めたのは、昼間上陸した島の。

流行しているという、謎の現象。









夢から目覚めた女は、悪魔の子を身篭っているという。



「怖いのか?」






意地悪気な顔は、自分でも自覚できる程。

きっと呆れるくらい、ニヤけた顔をしているに違いない。




やっぱりナミは溜め息をついて、「その顔どうにかしなさいよ」って。








「怖い訳じゃないのよ?」

「じゃあ何だ、興味あるのか?悪魔とのセックs「あんたそろそろ殴るわよ」







さっきまでかわいらしく甘えてきたくせに、どうせならもうちょっと寝たフリでも続けとけば良かったか、なんて考えている俺に。



「ただね、」



とんでもない不意打ち。












「ローの姿で迫られたら、私、断れる自信ないかも、って。」




「、、、っ」












この女のこういうとこ。

もうほんと、たまらない。



かわいいってか、かわいすぎ。







何でこんなに俺を掴んでハマらせるのか。







「むしろ、ムカつく」

「は?」

「さすがは“泥棒猫”だな」


「何言って「責任取れよ?」

「え、待って、意味わかんない」








おい、思いっきり抵抗してんじゃねぇかよ。


「断れる自信、無いんだろ?」

「、なっ!」


「いっそのこと俺の子、身篭ったらい「ほんと黙って。」












.

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -