今宵恋し君 | ナノ





幸せすぎる空間に
















言葉なんて必要ない























今宵愛し君






















形は違えど、どれも愛情たっぷりの「おめでとう」。


そして、




素直な笑顔の「ありがとう」。






ブルックが弾くバイオリンの音色に、合わせて踊るフランキー。

サンジとゾロのいがみ合いに、ナミとロビンの笑い声。

本日の主役はウソップとチョッパーと共に肩を組んで歌い、進む波音がバイオリンと絡み合い、良いBGMとなっていた。そんな夜。







今日は、我等が船長の。
一年に一度の誕生日。


































“今日だけ、特別よ”




そう言ってロビンが女部屋を出て行ってから、何分が経ったのか。



誕生日の夜くらいは、好き合う者で共に過ごせとの配慮も、嬉しいプレゼントの一つだった。





背後から抱きしめる形で自分の腕の中に収まる彼女も、今日は随分と優しいというか、素直というか。



ベッドに腰掛け、開いた足の間に座るナミの柔らかな髪に口付けると、ナミは嬉しそうにふふっと笑う。

白く細い首筋に顔を埋めると香るナミの匂いを肺一杯に吸い込もうとナミの肩に頭を預けると、くすぐったいと優しく笑う。






ナミのお腹の前で組んでいたはずの手は、いつの間にか外されていて、右手はナミの遊び道具となっていた。

指先を弾いたり、自分の指と絡ませたりと楽しんでいる様子のナミ。


時々こちらもギュッと力を込めて握ってやれば、ナミの肩がくすくすと揺れる。









さっきから、そんな時間。










「すきだぁー」







ふと漏れた言葉の響きがだらしなくなったのは、今目の前にいるナミを無償に愛しく思ったから。


心の底から、好きだと思った。






「ナミぃ、すきだぁー」






肺に溜まった酸素と共に、胸に溜まった想いを吐き出した。






「ふふっ、どうしたの?今日、すごく甘えん坊。」


「んん、おれにも分かんねぇ」






ただ何となく、好きって言いたくて、ちゅーしたくなって、離したくなくなった。


特別なことなんて何もしてない空間に、じわじわと愛しさが込み上げた。







「ナミ、こっち座れ」



ただ何となく、顔が見たくなった。ナミの脇に手を入れ持ち上げて、自分の膝に横向きに座らせる。






久しぶりに見たナミの顔はやっぱりいつも見ているナミの顔で、久しぶりにちゅーした唇からはいつもの“ナミの味”がした。


舌を絡めるだけのキスをだらだらと繰り返し、溢れるばかりの愛情にやる気は全て吸い取られた、そんな感じ。

深く熱いキスよりも、触れ合うキスを何度もしたい。その方が想いが伝わる、そんな空気感。












「ルフィ、」




首に手を回され、頬に温かい感触。ナミにちゅーされたんだと分かった時、ナミが耳元で囁いた。






















「誕生日、おめでとう」











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