天体観測 | ナノ




顔を真っ赤にして「好き」だと伝える女子と、「おれ好きなやついるんだ」と即答して「最低!」とビンタをくらった男。







一番可哀相なのは、何故かこの場にいる俺様じゃないか?










天体観測













相当な自信があったのだろう。

果たしてどこからそんな自信が沸いて来るのか。





完全にプライドを傷つけられた女子は、キッと殺気をも含んだ目で俺を睨んで走り去ってく。



とても数分前まで可愛らしく頬を染めていた女だとは思えない。






「おいルフィ、大丈夫か?」

「びっくりしたー、急に殴るんだもんな、あいつ」


「‥今のはお前も悪ぃだろι」



頬を叩かれた張本人は今ではヘラヘラと笑っている。

こんな男のどこがいいのかよく分からないが、ルフィはモテる。


後輩、先輩、同学年、と学年問わずに告白してくる女は結構多い。





実際、告白現場に居合わせたのはさっきが初めてだが。







俺様の名誉の為に言っておくが、生憎俺は人の告白現場を覗くような趣味を持っている訳ではない。


それが“親友”なら尚更のこと。






俺とルフィがいつものように二人で下校している中、あの女が声をかけて来たのだ。


それにしても。





「お前、毎回あんな感じなのか?」


「何の話だ?」


「告白の返事だよ。毎回さっきと同じ感じなのか?」



あれじゃあ殴られるのも分からないでもない。

まぁ、ルフィらしいとは思ったが。





「んん、そんな感じだな!」


「お前なー‥、それじゃあまりにも相手が可哀相だろ。いいか、俺様がとっておきの‥って聞けよ!!」





俺様がせっかくアドバイスしてやろうってのに。




ルフィは俺の話しに耳を傾ける様子もなく一点を見つめて動かない。




すぐ興味の矛先が変わるルフィのことだ、どうせまた何か面白そうなものでも発見したのだろう。








「ルフィ‥?今度は何を発見したんだ?」


「おーい?聞いてるか?ルフィー?」



反応を示さないルフィを不信に思い、ルフィの視線の先に目を向ける。


あぁ、なるほどな。




「‥ウソップ、」


「なんだ、どうした?」










ルフィの見つめる先には、鮮やかな、蜜柑の木。









「ナミの匂いがした。」









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