3 | ナノ








空き瓶を片付けて、ナミの隣に腰掛ける。





起きる気配は、無い。











今日何度目になるのか、溜め息が漏れる。



全く、毎回毎回よくもこう振り回してくれるもんだ、この女は。





寝るなら女部屋で寝ればいいものを、新しい酒を取りに行こうと少し目を離し戻って来た時から、今に至る。




せっかく眠ったところを起こすのは気が引けるが、起こさずそのままキッチンで寝かせようものなら、朝から怒られるはめになるのは目に見えている。












我ながら本当によくやったと思う。


今回も魔女に見事に振り回された。




そんな自分に、些細なご褒美。






寝てる女に顔を近付け、軽く頬に口づける。

触れる程度の、キスとも言えない頬へのキス。






これがナミと俺との、距離なのだ。






「おい、ナミ、起きろ」




心底眠いといった様子のナミを無理矢理起こし、女部屋へと送ってやる。



起きていたのか、起こしてしまったのか、女部屋からロビンの声が聞こえたことに驚いた。









一人キッチンに戻った俺は、また飲み直す。

恐らく今夜は眠れないだろうから。




一人になったキッチンで、考えるのは先程まで一緒にいたあの女のこと。


一緒にいた時間は幸せさえ感じたのに、一人になった途端の虚しさは酷いものだ。




途端に自分が滑稽に思え、浴びるように酒を飲む。










自嘲の笑みが零れ、頭の中に浮かぶのは、我らが船長の、憎たらしい程眩しい、笑顔。










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