体育祭エーナミ | ナノ








「‥信じられない!ばかエース!!」


目の前で、非難の色を込めた瞳が揺れる。

今日は楽しい楽しい体育祭。
なのに何故、こんなに人気の無い場所で彼女からお叱りの言葉を受けているのかと言えば、話は少々遡ることになる。











責任転嫁も良いでしょう











理由なんて挙げればキリが無い程だった。例えばその綺麗な太ももを惜し気もなくさらけ出している短すぎるジャージの丈だったりとか、ヘソや素晴らしいくびれを見せ付けるかのように縛り上げられたTシャツだとか。




問題なのは、自身の過激な格好を本人は何ら気にしてないということであった。




「そういう格好、俺以外の奴に見せんなよ、」







彼女を人気の少ない場所へ連れ出し耳元で囁いた言葉には、多少の怒りも混ざっていたかもしれない。



顔を紅く染めて驚いたように顔を向ける彼女は、自身の魅力を十分に理解しているようで肝心なところでは鈍感ときたものだからタチが悪い。





感情に任せて抱きしめた彼女を壁に押し寄せて首筋に顔を埋める。エース?と不安の混じった声で名前を呼ぶ声が聞こえた。


応えるように、出来るだけ優しい声で名前を呼んだ後にもう一度、耳元で囁いた。



「我慢出来ねェ、」












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そうして話は冒頭に戻る訳である。


可愛い彼女に翻弄され続けた彼が理性を取り戻したのは、ナミが涙ながらに「もう立ってられない」と訴えてきた頃だった。


体育祭で、学校で、いつ人が来るかも分からないというシチュエーションにいつも以上の興奮を覚えたのは彼だけではなく、彼女も同じ気持ちだったようだ。
だっていつもより締め付けも反応も良かったし‥、と口に出せば彼女が更に怒りそうなので言葉にはしないのが得策だろう。




俗に言う体育座りで恨めしげに睨み上げられている視線は感じるが、そんな顔されても可愛いだけだということを彼女は知らないらしい。





「ね、ばか、腰痛い。」

「‥すいませんでした」



もはや名前も呼んでもらえてないことにショックを受けながらも、確かにヤリすぎたかという反省から謝ることしか出来ない。
しかし彼女は、それだけでは機嫌が直らなかったらしい。



「抱っこ。立たせて。」





拗ねたような口調と表情。両手を伸ばされたそのポーズ。はっきり言って、反則技。


「何それ、可愛すぎ。」









遠くの方で響く歓声や声援。
生徒達の盛り上がりを遠くに感じながら彼は今、目の前の可愛すぎる生き物の存在に溜め息を吐くしかなかった。


















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エーナミで学パロR15をリクエストして下さったThyella様と、同じくエーナミをリクエストして下さった紗枝様に捧げます!
遅くなってしまい申し訳ありませんでしたm(_ _)m




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