3 | ナノ




ギンと非現実的ながらも喜ばしい再会を果たしてから3日目の朝。
日頃から細かい事を気にするようなタイプでない乱菊が、ギンを受け入れるのにそう時間は掛からなかった。






***













あれから色んな話をした。
死神の世界の話も沢山聞いたし、ギンがこの世を去ってからの乱菊の話もした。


中学校に上がってからの話や、高校での話。大学での話やバイト先の話など、ギンは色んな話を聞きたがったし、乱菊もそれに答えた。


楽しかったことや辛かったことは?嬉しかったことや嫌だったことは?と質問責めにされて苦笑もしたが、お互いが知らない期間を埋めるかのように沢山の話をした。

ただ一つ、ギンが去った直後暫く続いた孤独感や絶望だけは、隠した。





「楽しそうで良かったわ、」と呟いたギンの表情は、どこか寂しそうに見えたような気がして「ギンが居ればもっと何倍も楽しかったのよ」と付け足した言葉に嘘は無い。
恥ずかしくてギンの目は見れなかったけど、きっと微笑んだのだろう気配が伝わった。
ギンは昔から、そういう男だった。





「変わっとらんね、乱菊は。」







幼い頃は親の愛情を受けたなどという温かな記憶は無く、家が隣同士で同じく親に放っとかれがちなギンとよく一緒に過ごしていた。
親が与えてくれないモノは全部、ギンが与えてくれていたような気がする。

優しさだとか、安らぎだとか、愛情だとか。





「ギンも、変わってないじゃない」




いつだってくすぐったくなるほど、優しい眼をして私を見る。この眼はいつだって、変わらない。




一度失ったと思ったものが今、目の前に還ってきた。
その喜びを実感して、「今度はもう少し素直になろう」と乱菊は声に出さずに誓った。





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