2nd secret
聞こえてきた怒声に驚き、リコは体育倉庫から飛び出した。コート内には誰にもいない。
なら部室か、とリコは急いでそちらへ向かう。男子部室への入室なんて生憎男の体を見慣れている彼女には関係ない。そして部室前に到着し、少し乱れた息を整えて入り口のドアを開いた。
「ちょっと!何やって……って、わっ!」
開いた瞬間に飛び出してきたのは火神だった。リコに見向きもせず彼は体育館を出て行く。次いで火神くん!と一瞬遅れて黒子も飛び出して行った。
一体何が起こってる?
残った部員達に聞こうと入室すると、部室内の状態は凄まじいものだった。
まずは降旗。なあ!俺火神に何か悪いことした!?どうしようあれ絶対怒ってたよ!嫌われたらどうしよう!?と顔を青ざめさせ、その目には涙が浮かぶ。
それを福田と河原がただただ、大丈夫だって!多分少し機嫌が悪かったとかだけだって!と降旗の体をさすりながら慰めていた。
「離せ!!後輩の信頼を得ることも話を聞くこともできねぇなんざ主将失格だ!!!!その上嫌われたとなっちゃ俺は死を選ぶ!!!!」
「日向落ち着け!!早まるんじゃない!!」
「!!!!!!」
「日向駄目だ!水戸部もまずは火神の話を聞こうって言ってるよ!」
「火神の事情によっちゃ俺も一緒に死んでやるからまぁ待てよ!!」
「木吉は何を言ってるんだ!!?」
対してこちらは凄まじいものだ。
今にも首を吊りそうな勢いの日向に五人がくっつき虫の様に引っ付き、なんとか阻止している。木吉がやや日向の影響を受けているようだが恐らく問題ないだろう。
この状況を作り上げた原因に火神が絡んでいるのはまず間違いない。まずは何があったのか話を聞き、それからみんなで行動を起こそう。
普段練習でしか使わないホイッスルを口にくわえたリコはそう考え、一拍おいて高音域の警笛音を響かせた。
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121224
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