1st game
「はい、今日もお疲れ様!じゃあ、明日の伝達をするから良く聞いて」
練習を終え、それぞれが着替える中でリコの声が部室に響く。
「前から言ってあったけど明日は泥門高校で合同練習よ。8時に泥門高校の校門前に集合すること。いいわね!」
それぞれが返事をした後、一年生達は明日の準備に取りかかる。そんな中、火神が手をあげた。
「あの、俺、泥門高校の場所知らねぇ、です」
「黒子くん」
「ボクが地図を持っているので一緒に行きましょう。というか行き方の紙を前にカントクから貰っている筈ですが」
あれ!?だなんてカバンを急いで漁る火神をよそにリコはスケジュール帳に書き込まれた『泥門』の文字を見つめる。相手は桐皇や秀徳といった強豪校ではないとはいえ、都内では中堅クラスにあたる強さだ。おまけにこちらはウィンターカップやらで戦力を披露しきっている。
油断大敵、リコは気を引き締めた。
相手校の名前をいつか誠凛を訪ねてきた小さなエース達から聞いたことがあるだなんてことは誰も思い出さなかった。
「明日ですか!?はい!楽しみにしてます!」
《うん!僕もうワクワクしちゃって!寝れないかも!今から自主練初めちゃおうかなぁ……》
「いや、そこはちゃんと寝て下さい!」
《う……、分かったよ。じゃあまた明日ね!》
「はい、おやすみなさい」
明日。つい先日に引退した彼らが数日ぶりに練習へやって来るというのだ。残念なことにムサシと雪光、まもりについては家業や急用があり参加出来ないということであったが、それでも十分過ぎるほどだった。
四六時中響く銃撃音と薬莢の散らばる金属音に硝煙の匂い。どれも懐かしい。
「って違う!!」
何のスポーツだ!?なんて頭を抱えたところで母親の就寝を促す声が聞こえた。それに急いで返事を返し、ピットと一緒に布団に潜り込む。
厳しい練習になることは分かりきっている。それでもセナは嬉しい気持ちを抑えられなかった。
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121224
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