十一話 | ナノ


11th game

「あの、大丈夫ですか?」

 試合でないとはいえど、相手はバスケ日本一のチームの一員だ。セナは失礼があってはいけないと、全身全霊のデビルバットゴーストを火神にお見舞いした。本当はデビル4(フォース)ディメンションをしようかとアップ時にモン太へ相談したが、それはいくらなんでも容赦が無さすぎると止められた。当たり前である。
 火神はまだ動かない。その様子にセナは更に焦る。どうしよう、どこか怪我をしたのだろうか、もしそうであれば謝罪では済まない。そういった考えが頭を巡るが、それは突然終わりを告げた。

「……す」
「す?」
「すっっげぇ! なあ、もう一回! もう一回勝負してくれ! 次はぜってぇ止めてやる!!」

 190cmもある火神に急に迫られ、思わず後退る。しかし、あっという間に両肩を掴まれ火神の眼前にセナは捕えられた。爛々と輝く目に、まるで自分が獲物として捕えられたような感覚へと陥る。

「え!? いや、あの、一回勝負だって言ってたし……」
「んなのは関係ねぇ! 次はヘルメットなしだ! そんで勝ってやる!!」

 これは困った。セナはリコを見る。しかし、期待を裏切ってリコは最高に良い笑顔で親指を立ててセナが求めてもいない許可を出していた。
 多分、僕今日のおは朝占い最下位なんだろうな、なんて頭の片隅で確信し、頭をがっくりと項垂れる。その後も俄然やる気になった火神だけでなく、何がどうなったのか日向や伊月といった木吉を除くメンバー全員をそれぞれ相手することとなり、最終的に制限の5時まで付き合わされる羽目になった。今回の勝負では一度も止められることはなかったのだが、最後にとうとうゾーンへと突入した火神へ思わずデビル4ディメンションを使ってしまい、少し悔しい思いをしたのは秘密だ。その時は「unbelievable……!」と、火神が更に闘争心を燃え上がらせたのは言うまでもない。
 そして帰る頃のセナとモン太の携帯には、新たに12名のアドレスが刻まれたのである。これを皮切りにキセキの世代といった様々なバスケ関係者の連絡先を手に入れる羽目になるのだが、彼らはそのことを知る由もなかった。

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121224

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