六話 | ナノ


6th game

 リコの返した答えに驚いた様子のセナとモン太は、火神や黒子たち後輩と同じ歳の筈であるのにとても幼く見えた。
 なぜリコがわざわざセナ達を引き留めたのか。お礼を言いたかったというのもある。ただ、それだけではない。理由は無意識でちらりと分析した彼らのフィジカルにあった。服を来ているため正確には見えないが、とても興味深いものでだったのだ。特に、小早川瀬那という少年の脚。正直、今すぐここで脱げと言いたいのを我慢している状態である。さて、どうするかとリコが考えていると、体育館に新たな人物がやって来た。

「おー、良かったまだいたな。相田、来週の体育館のローテで話があるんだが今良いか?」
「あ、はい!何ですか?」

 誠凛高校体育教師の一人、青米富斗(あおめふうと)である。180pの身長に95sの体重を持つ体躯は逞しい筋肉でガッシリとしており、現役スポーツマンの運動部の生徒達に負けていない。その強面とは裏腹に、融通が利き面倒見の良い人柄は生徒達にも好評だ。生徒には『ふーちゃん』なる大変可愛らしい愛称でも親しまれている。
 抱えている書類と注文雑誌の束から青米は休日の体育館使用時間表を探し出し、これだ、とリコに差し出した。それを受け取り、これが終わったらセナに自分の意図を説明し、可能であればその体を堪能させていただこうなんて考えながらリコは用紙を見た。
 直後、大量の紙と雑誌がリコの足元に散乱した。

「きゃっ! 先生大丈夫ですか!?」

 散乱した書類を急いで拾い上げ、青米を見る。しかし、青米は書類のことなど眼中にないようで、信じられないという表情をしてセナ達を凝視していた。

「何でここに……」
「先生?」

 青米の視線を辿った先にはセナ達がいる。彼らも状況が分からないらしく、頭にはてなを浮かべている状態だ。

「アイシールド21!!」

 いきなりのとした青米の叫びが体育館を空気をぐわんと揺らした。

「それに空飛ぶもぎ捕りモンキー!!」
「ムッキャー! 猿って呼ぶんじゃねえ!!」

 憧れの選手に会ったと言わんばかりに目を輝かせて青米はそのままセナ達の元へ駆けつけ、怒るモン太も無視し、両手と全身を使って力の限り握手なんかもしている。先生ぇ!その子達の腕抜けちゃう!と小金井が止めようと声をかけるがなんのその。
 満足したのか、青米がやっと落ち着きを取り戻した頃にはセナ達の口からは大事な何かが昇天しかけている様に見えた。

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121224

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