お姉ちゃん、と呼んでほしくて





「ライヴィスは可愛いなぁ…」

お姉ちゃん癒されちゃう。
そんなことを言いながら僕に抱きついてきた女性は、イヴァンさんの恋人らしい。
ちょっと前にみんながそう言ったのを思い出して、心臓がばくばくと鳴ってしまう。

イヴァンさんの恋人ってことは、もし怒らせたりしたら、僕…

「殺されちゃう、かも…」
「あっ、ライヴィス、動いちゃ駄目よ」

むにゅむにゅと柔らかいそれから抜け出そうにも、意外と強い力で抱き締められていて。
同時に、痛いほどの視線が刺さってくる。
振り返らなくてもわかる、その視線の主は。

「ライヴィス、何してるの?」
「うわぁぁぁぁっ!」
「あ、」

ひょい、軽々と放られた僕の行く先には、大量の雪。
そして、更にイヴァンさんの妹さんがいるとなったら、結果は予測できて。

「ライヴィスーッ!」

エドァルドが僕の声を叫んでいるのが、ずっと遠くに聞こえた。




─お姉ちゃん、と呼んでほしくて─


(私、ライヴィスみたいな弟が欲しかったのに…)
(じゃあ、僕と子供を作ればいいんじゃないかな?)
(子供じゃなくて、弟がいいの。それに、もし子供なら女の子がいい)
(女の子かぁ…なまえに似たら困るなぁ)


2010.02.01



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