ワイルドな彼女






久しぶりに教室に行ってみると、ロヴィーノはいなかった。彼の弟であるフェリシアーノが言うには、最近は屋上にいることが多いらしい。
彼のいない教室にいるというのも退屈なので、屋上へ向かう。
うまくピッキングされて鍵が壊されたドアノブを捻ると、日光が襲い掛かってきた。眩しい。そして目が痛い。

「だれだ?」
「うわぉ!!」

ロヴィーノの声がすぐ隣でして、身体ごと飛び跳ねた。まだ寝惚けているのか、いつもは見ないような柔らかい笑顔で手招きされる。

「なまえ、おかえり」
「た、だいま」

ふんわりと腕に閉じ込められ、爽やかな香水の匂いが鼻をくすぐる。私が好きな匂い。額を彼の胸に擦りつけていると、優しい声が私を呼んだ。
何だろう。今日はやけに優しい。

「ロヴィーノ?」
「…お前がいないと調子狂うんだよ」

留守番をしていた子供のような視線につい吹き出してしまい、デコピンされた。それでも痛みよりふわふわしたあたたかい気持ちが勝って、にやけてしまう。
ほんの2日か3日会わなかっただけなのにこんなに求められるなんて、嬉しくて。にやにやしながら頭を撫でる。

「寂しがらせた分、今日は何でもやるよ?」
「じゃあ、今日1日サボれよ、俺と一緒に」

うわあ、デレた。
茶化してみせると、ロヴィーノは不機嫌そうな表情をつくった。けれど、頬の赤さまでは隠しきれないようで。なおもからかおうとした私の口を封じるかのように唇が重なった。




─ワイルドな彼女─

(もう勝手に停学になんじゃねーぞ)
(あっちが変に絡んでこなかったらね)


2011.10.18

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