ヒマラヤユキノシタ


これの続き




「お邪魔しまーす」
「よぉ、来たぞー」

ずかずかと上がり込む俺たちを慌てて迎えて、彼女はテキパキと家事をこなしていく。

「早いですよー」

約束の時間には、まだ30分ほどあるけれど。
どうしても待ちきれなくて、うずうずする俺に新八が痺れを切らしたらしい。
何かと思えば、俺の手を引いて。
やってきた彼女の家。
隣なのだから、早いのも無理はないだろう。

「もっと時間があれば、」

美味しく作れたんですけどね…。
なんて、苦笑を浮かべながらテーブルに食事の用意をしていく。
俺の分も作ってくれていたようで、嬉しさに鼓動が鳴る。

「ほら、できましたよ」
「あ、どーもな」

ふわりと鼻孔をくすぐる匂いに何故だか愛しさがこみ上げて。
小さく、彼女の名を呼んでみる。

「……なまえ、」

何ですか、
いつもならそう言って振り向くだけなのに。
今日は違い、彼女はくるりと振り返ると、俺に触れるだけの口づけ。
必死に背伸びをする彼女に頬が緩み、もう一度口づけを落としてやった。

「ご飯、冷めちゃいますよ」
「別に、いいんじゃねーの?」

また、つくってくれるんだろ?
にやにやと笑って聞いてみると、彼女は頬を朱に染めた。




─ヒマラヤユキノシタ─
花言葉は、深い愛情。


(遅いヨ新八)
(あの2人に挟まれたら、遅くもなるよ!)
(上手くいってるアルか)
(うん、そうみたい)


2008.06.22

2010.03.10 修正
露芽さんへ!


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