風紀委員長×平凡
デート小話
 
 
 
 
 
 
 
 
行き交う人から少し外れた所に柱に凭れかかって立っている人影がある。
明るい髪色に紺のPコート、落ち着いた赤色のズボンにショートブーツを履いているその男は笹堵望。
 
望の整った容姿に男女共々みんな見ている。
そんな中、望はというと
 
 
(待ち合わせの一時間前につくなんて…何かの間違えだ!電車の乗り合わせがたまたま早かっただけだ!)
 
と誰に言う訳でもなく、一人心の中で言い訳していた。
 
 
かれこれ三十分程待っていると、人波に一本の道が出来た。
 
 
 
 
「よぉ、待ったかおチビちゃん。」
 
「チビじゃねーし!」
 
 
黒い薄手のコートに細身のダメージジーンズ、ウエスタンブーツを履いて綺麗な青い髪を遊ばせているその男こそが望の待ち人、黒滝龍斗である。
 
 
「ちゃんとオシャレしてきたんだな。そんなに楽しみだったのかよ。」
 
クツクツと愉快そうに言う龍斗に望は顔を赤くする。
 
「ちげーし!罰ゲームだから仕方なしにやってるんだっての!」
 
「はいはい。ま、とりあえず飯行くぞ。」
 
軽くあしらわれたことに望は悔しそうな表情を浮かべている。
 
 
 
 
 
 
 
昼食を済ませ、お会計をしようと望が動いた時、すでに龍斗が払い終わっていた。
 
 
「俺も払うって!」
 
「いい、もう払ったから。」
 
「だって俺が負けたんだし!」
 
「俺の言う事聞くんだろ?」
 
口でも龍斗に勝てない望は見事に言いくるめられ、少し腑に落ちない顔をしたが、すぐに龍斗を見つめて
 
「…ありがと」
 
と小さく言った。
 
その言葉に龍斗は笑みを深くした。
 
 
 
 
 
しばらく街を徘徊した後、小腹が空く時間帯になった。
 
 
「何か食べたいものはあるか?」
 
「うーん…クレープ!」
 
龍斗が訪ねると甘いものが好きな望は嬉しそうに答え、店に向かって歩きだしてしまった。
 
 
 
望が歩いていると激しい人の波に押され、よろけてしまった。
転ける!と思い、きつく目をつむったが、思ったような衝撃はなく、背中に何か硬いものがあたった。
 
 
「本当に危なっかしいな。」
 
 
顔を上げると龍斗の顔。
望は凭れかかる様に龍斗に支えられていたのだ。
 
あまりの顔の近さに固まってしまった望の手を掴み、店の方に向かっていった。
 
 
 
 
結局そこでもまた言いくるめられ、その日望は一銭も出させて貰えなかったのだった。
 
 
 
 
 
辺りも暗くなり、帰る事にした二人は肩を並べて歩く。
 
 
 
「今日は付き合わせて悪かったな、だが楽しいデートだったぜおチビちゃん。」
 
「だから、ででデートじゃないって言ってるだろ!」
 
望の反応を楽しむような龍斗といつものような会話をしていると、望の寮部屋の前についた。
 
 
「あれ?俺の部屋?」
 
送られた事にも気付かない望は頭に疑問符を浮かべている。
 
 
「じゃあな、おチビちゃん。」
 
そう言いながら去ろうとする龍斗の服の袖を望は掴んだ。
 
「あの、えっと…今日はあ、ありがと…」
 
小さい声で言う望に龍斗は優しい笑みを浮かべ、そのまま何も言わず望の額に口付けた。
 
「…っ!」
 
そしてそのまま去っていった。
 
 
 
 
その後には真っ赤な顔をしてしばらく立ち尽くしている望がいたとかいないとか。
 
 
 
 
 
 


 
 
 
 
 
無理矢理詰め込んだ感満載^^
でこちゅーは趣味!w 
 
 
 
 

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