美形×平凡
「なぁなぁ、帰らへんの?」
「え、俺今日日直やから日誌かかなあかんねん。ちょっと待ってて。」
「はいよー。」
ほのかに夕日が窓からさしている教室には、二つの影。
何も変哲もない情景である。
ただ一つ違うのは、
「なぁ、また今日も告白されとったやん。最近多ない?」
「だって俺イケメンやもん。」
「自分で言うなや!ナルシストか!悪かったなー、ブサイクで。」
「ブサイクちゃうやん、平凡やろ、何の特徴もない。」
「余計悪いわ!ネタにも出来ひんやんけ!」
「はいはい、可愛い可愛い。可愛いからちょっとこっちおいで。」
「可愛いないし!ほんま腹立つわー!…んで、何?」
ちゅっ。
「お、おま、お前!」
「そうゆうとこ可愛いよなー。ていうか嫉妬してくれてんの?大丈夫やで、お前だけで十分やから。」
二人が恋人同士だということだ。
「お前!誰かに見られたらどうすんねん!」
「いーやん。見せつけたれ。」
「アホか!ネタにもならんわ!」
「はいはい。もう終わるから大人しくしとき。」
「…なんかツッコむ気力無くなったわ。」
「いやいやいや、突っ込むのは俺の方やから。」
「そうゆう意味ちゃうわ!下ネタ言うなや!」
「だって事実やろー。よし、書き終わった!よっしゃ、帰ろ!」
「うるさいわ!…帰ろか。」
二人は教室を後にし、肩を並べてゆっくり帰路を歩く。
「お腹すいたー。何か寄って帰ろうやー。」
「マクドでも行く?」
「わーい。イケメンさんおごってー!」
「しゃーないな。今日だけやで!」
「よっしゃ!」
「なんかあれやな、制服デートやな。」
「俺らが制服デートやて。ネタやん。」
「似合わへんなー。」
「似合わへんなー。」
そう言って微笑み合う二人。
その影は少し沈んだ夕日に溶けていった。
ほとんど会話文になってしまった。
しかしゆるいなこの話。
使い慣れた関西弁はやっぱ書きやすい。