1

レンシス大聖堂


 持っていた衣の予備は、無事だたったため、リーファとシュウはそれに着替えた。リーファの髪飾りも、無傷とはいえなかったが、原形は保っていた。
 リーファとシュウは、人気の無い町を歩いていた。目指すのは王宮。シュウは、王宮を全壊させたいらしい。リーファは、しっかりと指示を聞き、しっかりと邪魔をしようと目論んでいた。
 白亜の宮殿を、血で染める気などさらさら無い。確かに、王に一言ニ言言いたいことはあるが、そこまで恨んでいるわけではない。
 それに、王宮には、レナーサがいるのだ。リーファは、隣を歩く男を見た。
 計り知れ無い憎悪。
 リーファは前々から感じていた。シュウの破壊欲は、無差別に展開されるわけではない。国に仕える兵士、役人、そして、この国の基盤であり、この国を支える、身分制度。
 花嫁を助けた時だってそうだった。シュウは、この国を憎み、身分制度を壊したいと思っているのだ。王国が作り上げ、王国が愛する身分制度の破壊を、恍惚とした表情で見るのだ。
 それは、彼がレンシス所以なのか。それは、リーファには分からなかった。何にしろ、リーファには関係ないことだ。



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -