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天使の宴


 自分で見えない場所は、自分では治療できない。
「一体何をしたんですか?」
 リーファが背中を見せた時の、ビアンカの第一声はそれだった。
 治療の役に立ちそうのないミューシア(実際、役に立たない)は、すぐに寝かせた。起きているのは、三人だけだ。
「私は、何もしていないんだけど」
 ねぇ、とシュウに同意を求めれば、だらしなく座り込んでいた男は、呆れたように言った。
「もっと他の言い方あるだろ」
 ビアンカは、何もせず、リーファの背中を呆然と見ていた。ビアンカは馬鹿ではない。状況は、容易に想像できただろう。
 リーファは、こっそりとビアンカの顔を窺った。端麗な顔には、誰が見ても明らかな、迷いが映っていた。



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