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偉大なる神への宣戦布告


 美しい大理石の宮殿の小椅子に、一人の青年が座っていた。亜麻色の髪に、鳶色の瞳。透き通るような白い肌に、黒い大きな羽根が冴える。
「それは、困りましたね」
 冷たい床に伏せている天使たちに、青年は、その温かみのある鳶色の瞳を向ける。しかし、その光は冷たい。
「それほどまでに、そのドラゴンは強かったのですか?」
 ええ、と一人が答える。青年は、目を細めた。
「それで、そのドラゴンの行方は、確認してあるのでしょうね」
「実は、シャーナの魔術師と、あの男と……」
 その言葉に、青年は声を出して笑う。冷たい空間に、青年の笑い声だけが響く。
「あの男ですか。それは困りましたね。あの男の所為で、同胞の半分が死にました」
「笑い事ではありません」
 静止の声を聞かず、青年は、なお笑い続ける。
「貶められた者は、どこまでも堕ち続けます。自分を貶めた者を、陥れるために」
 そこで、青年は急に笑うのを止めた。さらりと、亜麻色の髪を揺らし、ゆっくりと立ち上がる。
「その前に、僕が裁きを行いましょう」
 青年の、男にしては高い声が、白亜の宮殿に木霊する。
「神の御加護を……ビアンカ様」
 美しい黒と白のコントラストに支配された空間に、天使の合唱が響いた。



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