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女魔術師と剣士


 覇王は玉座で髪を掻き分けた。
「この世界には、神を殺す方法がある。だが、私はその方法をとりたいとは思わない」
 外は夕日で紅く染まっているだろう。しかし、玉座の間はいつもと変わらぬ白い光で満ちている。
「神がいても構わない。黙って見ていて、稀にささやかな人間の願いを叶えてくれれば良いじゃないか」
 その時に、バルベロが堅い表情をしていたのに、覇王は気付いていた。
「神は、お前の心の支えなのだろう、バルベロ」
 覇王は確かに微笑んでいた。
 覇王は元々、神を憎んでいたわけではない。ただ、神に自分の大切なものを奪われたと思い、神を恨み始めた。覇王に道を外させたのは、神とバルベロで、それによって被害を被ったのも神とバルベロだった。
 覇王はバルベロに対して、許されざることをした。しかし、どうして最後まで覇王の支えになってくれなかったのだろうか、という思いは消えない。
 それはリーファが覇王の魂を持っているからではない、とリーファは思っていた。リーファは覇王の転生者であると同時に、理解者である。リーファは、それを認めていた。

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