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五里霧中


 シュウは、定期的に人を斬っていたし、リーファが嫌な顔をするようなこともしていた。
 シュウは自分がそういう点で狂っている自覚はあるし、何故こうなっているのか理解もしている。
 そして、「罪悪感を感じている自分」の存在も、認めていた。だから、その罪悪感を少しでも減らすため、虐げる者を斬る。弱者を虐げる者であれば、と思えば、幾分か気も楽になる。
 僅かに欠けた満月。シュウは、昼間のうちに目をつけておいた役人を斬っていった。当然、兵士も出てくるが、兵士程度では、シュウは小さな怪我すらしない。しかし、今日は違った。
「あーあ、やってしまったな」
 敵は全て斬り殺した。しかし、シュウは溜息を吐いた。そして、自分の腕に視線を落とす。紅の衣を突き破り、ざっくりと斬れており、だくだくと血が流れ落ちてくる。町の中なのだから、誰かに助けを求めよう、と思い、シュウは静かに歩き出した。
 しかし、出血による貧血で、酷い眩暈が襲う。シュウの意識が途切れるまで、それ程時間は掛からなかった。

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