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ドラゴンと天使


 それは、朝日の中で、皆で朝食を食べている時だった。あまり美味しくない焼き魚を頬張りながら、リーファはまったりとお湯を飲んでいた。
 お茶などという贅沢品は、滅多に飲めないのだ。この一年間、食事だけは良かったな、と思いつつ、つい先ほど袖を通した藍色の衣を見る。一年前に着ていたのと、それ程変わらない。シュウが朝、リーファに投げて寄越したのだ。選ぶ人間が変わらないのだから、驚くべきことでは無いだろうが。
 そう、つまり変わり映えの無いビアンカとミューシアの言い合いを聞きながら、まったりとしていた丁度その時、自然の風とは思えない風が、ぶわりと吹いたのだ。
 現れたのは、神々しい光放つ天使だった。鮮やかな藤色の翼に、金色の長い髪。しかし、その顔や体つきから、女には見えなかった。
 ぶっ飛んだ焚き火に、リーファは舌打ちしたくなったが、そこは抑えた。
「ビアンカッ、お前……」
 しかし、その天使から漏れた声は、お世辞にも天使らしくはなかった。気の良い男の声。やや高めのビアンカの声でもなく、そうかと言って、何だかんだ言っても静かな雰囲気のある低めのシュウの声にも似ていない。
「似合いすぎだろ、堕天使」
 天使がそう言った瞬間、世界は眩い光に包まれた。


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